熱愛発覚!? モータージャーナリスト飯田裕子が一緒に暮らす最愛のお相手は?【新シリーズ:貴方の愛車ナンですCar!?】

■クルマとの素敵な日々をご本人に直撃!

さまざまなクルマ好きの方々に、ご自身の愛車についてうかがう「貴方の愛車ナンですCar!?」がスタート。記念すべき第1回は、人気モータージャーナリストの飯田裕子さんと愛車ポルシェ・ボクスターの胸アツなストーリーです!

飯田裕子さんと愛車ボクスター
飯田裕子さんと愛車ボクスター

●最初のボクスターには切ない記憶が

クリッカー「飯田さん、いつも素敵な原稿ありがとうございます。でも今日は原稿じゃなくて、飯田さんの愛車についてお話を聞きたいのですが」
飯田「ちょっと照れますね」
クリ「今日、乗ってきていただいたこのクルマ」
飯田「ポルシェのボクスター。981型の2015年式です」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
981型ポルシェ・ボクスター。デビューしたのは2012年のジュネーブショー。
飯田裕子さんと愛車ボクスター
エンジンは2.7リッター水平対向6気筒。265ps/280Nmを発揮する

クリ「6気筒自然吸気エンジンを積んだ最後のボクスターですね」
飯田「はい。実は私、ボクスター2台目なんですよ」
クリ「うわ、それはぜひ理由を聞かなくちゃ」
飯田「ちょっと切ない思い出なんですけど」
クリ「え?」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
飯田裕子さんと愛車ボクスター

飯田「私はもともと、シルバーのボディに紺のトップ、内装もヨッティングブルーっていう紺色のボクスターに乗っていました。2016年式の左ハンドル&マニュアルです。ポルシェだけど、どこかアストンみたいなイギリス車的なたたずまいで、ものすごく気に入っていました。洗車も可能な限り自分で手洗いしていたし、『アタシのボク』というメンテナンスノートを作って、車検や整備もきちんとレコードに残してきたんですよ」
クリ「幸せな『ボク』でしたね」
飯田「はい。ところが2018年の夏、私が住んでいるエリアをゲリラ豪雨が襲ったとき、半地下のガレージに駐めてあったその『ボク』が、水没してしまったんです」
クリ「(絶句)」
飯田「なんとか直せないものかとあれこれ手を尽くしたのですが、結局廃車に。そのあと3か月くらいは、友人などにその話をするたびに涙ぐんでしまって、ものすごい『ロス』でした」
クリ「辛い別れでしたね」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
飯田裕子さんと愛車ボクスター

●飯田さん向きのボクが出てきました

飯田「しばらくはクルマを買い換える元気もなかったのですが、その年も暮れになると、さすがにマイカーのない不便さを感じるようになって……。そんな時、ポルシェセンター世田谷さんから『飯田さん向きのボクが出てきましたよ』って連絡をもらったんです。これまで、性能のみならず、デザインはもちろん、内外装カラーの組み合わせなどにも妥協せずこだわって選んできたました。ちなみにボクスターの前にはアウディA5クーペ・クワトロに乗っていたんですが、グレーなんだけど光の具合で紺のようにも見えるボディカラーに、キャラメルのような色をしたシートがエレガントで、ボディのフォルムに内外装色のバランスは最高でした。
けれど、その添えられた写真のボクスターは、残念ながらボディとホロの色の組み合わせが私の好みじゃない。まあ、わざわざ探してくださったご恩もあるから、直接出向いて断ろうと思ってディーラーに向かいました。そしたら、ショールームに写真とは違ったボクスターがあるんです。セールスの方は『この車両、急に見つかったんですよ。飯田さんにはこっちだと思いまして』って」
クリ「運命的ですね」
飯田「ただ、はじめは『黒いボディに赤いトップなんて男性っぽいな』と思いました。年式も前のボクより1年旧いし、走行距離も走っている。でも幌を開けてみたら、内装のグレーがすごくきれいなんです。さらに後ろからちょっと離れて見てみると、赤いトップが黒いボディの上に載って、赤いテールレンズとのバランスが素晴らしい。着物の半襟というか、くっきりと差し色が入った感じ。そう思ったら、そのクルマが急に美しく、おシャレに見えて、『これはアリだ!』と。それが『この子』なんです」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
黒いボディの上にのぞく赤いトップが着物の半襟のように見えたという。

●大排気量NAとクワトロ

飯田「ボクスターの前のアウディは、3.2リッターのV6でした。その時、大排気量NAの魅力を痛感したことは、現行の718ではなく981型ボクスターに決めた大きな理由のひとつになっていると思います」
クリ「4輪駆動(クワトロ)からミッドシップですか」
飯田「そこなんです。クワトロって、一度乗るとトロトロになるくらいいいんですよ(笑)。たとえばRS6アバント(C6型)でアウトバーンを200km/hオーバーで走っていたときのことです。前方で車線変更をしそうな動きをするクルマが目に入るとアクセルを緩める操作は誰でもすると思うのですが、ハイスピードで走行をしているとわずかにアクセルを緩めるだけでも、クルマの姿勢が不安定になりそう、もしくはなりがちですよね。

ところがアウディRS6で走ったときは、もう、クルマが思うがままなんですよ。260km/hとか270km/hとかからアクセルを緩めるどころかガバッとアクセルを戻してもビクともしない。常にクルマがコントロール下にある。『クワトロってなんてすごいんだろう』と思いましたね。まあ日本ではそんな速度域で走行することもないのですが、雪や雨でも安心感が違います。
クリ「それがなぜボクスターに?」
飯田「なんていうか、幸せな自分に疑問がわいてきたんです。『このままでいいんだろうか』と。そしてある日、『このままクワトロに満足してしまってはいけない。もう1回、後輪駆動の身体に戻ろう』と決心したんです。今のうちにマニュアルに乗っておきたいという理由もありました。

飯田裕子さんと愛車ボクスター
エンジンをかけた瞬間、「走ろう!」と誘われるような感覚に満たされるという。

そんなときに、シルバーに紺の幌というエレガントなボクスターに出会いました。そしたら仕事でボクスターに乗った記憶がよみがえってきたんですよ。ボクスターって、街乗りだと美点が分かりにくいんですが、ワインディングに連れ出すと重厚感としなやかさが本当に素晴らしいんですよ。911でもなくケイマンでもない。オープンだからこそのわずかな「緩さ」が効いてるんですね。そんな思いがないまぜになって『どうしても欲しい』となったわけです」

●エンジンをかけた瞬間「走ろう!」って言われる

クリ「なるほど。普段はどんな使われ方をしているのですか」
飯田「仕事や買い物、実家との往復にも普通に使っています。私には3歳の姪っ子がいるのですが、私の『ボク』を気に入ってくれていて、実家に彼女がいるとよくドライブに出かけます。細道をゆっくり走りながら電動トップを開けると、流れる風景に目を輝かせるのが可愛いですね」
クリ「オープンカーからの風景って、きっと記憶に残りますね」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
3歳の姪御さんが、ボクスターを大のお気に入りだという

飯田「いっぽうで、今の私のボクってむちゃくちゃエンジンが回るんですよ。現行のボクスターのほうが速さは勝りますが、981のボクの加速感にも違う魅力があると思っています。初めてアクセルを踏み込んだときにはビックリしたんです。まるで愛犬と散歩に出ると、握ったリードをぐっと引かれる感覚。『走ろうよ!』と言われてるみたいな…。ふだんはクルーズモードでばかり走っているのですが、ときどき低いギアで思い切り回してあげるようにしています」
クリ「そういえば、ホイールをBBSに換えてありますね」
飯田「足元が軽くなりました。このホイールに交換するとき、ホイールだけでの違いが分かるようにと、タイヤは換えずそれまで使っていたものをそのまま装着してもらったんです。すると1輪あたりスイカ1個ぶんくらい軽いのではと思うほど(笑)。ポルシェの鍛造も相当軽いですけど、上には上があるって感じですね」

飯田裕子さんと愛車ボクスター
ホイールはBBSのRI-Dに換装。

クリ「最後に飯田さんにとってボクスターはどんな存在ですか?」
飯田「うーん、いい相棒ですね。ボクスターの性能を、あれだけ個性的な内外装で乗れているっていうのが、自分でも幸せだなって思います」
クリ「素晴らしいボクスターライフが続くことを願っています。今日はどうもありがとうございました!」

【飯田裕子さんのこれまでの愛車遍歴】
・トヨタ・コルサ
・いすゞ・エルフ(レース車両運搬用。3万5000円!)
・日産シルビア(S13)
・日産プリメーラ UK 5ドアハッチ(P10)
・BMW 325i カブリオレ(E36)
・スバル・インプレッサWRX RA(GC8)
・アウディA5クーペ(B8)
・ポルシェ ボクスター 981
・ポルシェ ボクスター 981

【Profile】
飯田裕子(いいだゆうこ):自動車メーカーに勤務したのち、フリーのモータージャーナリストに転身。「人×クルマ×生活」をテーマにクルマの紹介はもちろん、環境/安全/ドライブの提案など幅広く活躍。近年の自動車の電動化や自動運転、I o T化、また道路インフラなど今後の自動車環境を取り巻く技術や整備についても積極的に取材を進めている。一方でOL時代から始めた自動車レースの経験を活かしドライビングスクールで自動車ユーザーに安全でエコで楽しい運転の啓蒙にも力を入れている。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、JAF環境・安全委員会委員、JAF Woman in Motorsport 座長、FIA Woman in Motorsport委員。

(写真:井上 誠/文:角田伸幸)

●飯田裕子さんのSNS

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この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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