コロナで見えた!?クルマをもっと好きになる優しい気遣いと健康管理法とは?【対談:飯田裕子×工藤貴宏】

■生活様式が変わって、良いことも生まれた

時刻表にしばられない自由な移動ができるのが、クルマ。
時刻表にしばられない自由な移動ができるのが、クルマ。

飯田裕子:工藤さん、大変な一年が明けましたね。あらためて「自動車の存在」が問われた2020年でした。
自動車メディアに関わる私たちのお仕事は「クルマの魅力を伝えること」。移動の制限があった頃は、大好きなクルマに乗れないフラストレーションがたまっていました。

工藤貴宏:僕はいいこともあったんですよ! 子どもたちが塾などに行く際は、これまでは当たり前のように電車・バスなど公共交通機関を使っていたけどコロナ以降は、つり革や手すりに触れるのに抵抗があるようで怖がって乗りたがらない。そうなると稼働率が上がるのがマイカー。
すると車内に一緒にいる時間が増えるから、子どもとのコミュニケーションが「密」になる。
もっといいこともあって、奥さんが英語教育のDVDを買ってきて車内でレッスンを始めた。もう、子どもの英語力が爆上がりで(笑)。

モータージャーナリストの飯田裕子さん。

飯田裕子:私は、車内ではBluetoothでスマホのオーディオを聴くことが多かったのですが、騒動以降はラジオでニュースを聴くことが増えました。

工藤貴宏:知り合いで、コロナを機に新車を買った人が何人かいます。今までクルマに興味のなかったようなタイプの人が、急にむくむくと所有欲をふくらませた(笑)。
聞くとどうやら、安全な移動空間として、あらためてクルマに興味を持ったようなんです。公共の交通機関よりも、やはりクルマで移動するほうが圧倒的に安心ですよね。

飯田裕子:国内の新車販売も一瞬、落ち込みましたが、2020年10月、11月、12月と3ヵ月連続で前年超えを記録しています。
さらに、趣味性の高いクルマほどよく売れた傾向が見てとれます。FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ=現ステランティス:2021年1月16日誕生予定)のように第3四半期決算が好調のメーカーも多いですよ。

工藤貴宏:そうそう、どうせ買うならいいクルマを買おう、という流れが見えます。

飯田裕子:一般の皆さんのクルマに対する熱量・感覚の変化が私たちにも伝わってきましたね。

●クルマという存在の大事さが浮き彫りになった

モータージャーナリストの工藤貴宏さん。

飯田裕子:ロケの仕事でやむなく遠方に出向いた時期が、他府県ナンバーのクルマに嫌がらせが頻発している頃で、訪れた土地の人には申し訳ないというか、観光ではないということがわかってもらえずモヤモヤしていました。
やむをえず他府県ナンバーに乗っている人が地元から誤解を受けないようにマイカーに貼る「私はこの地域に住んでる者です」ステッカーも一時期流行しましたね。

工藤貴宏:自分のプライバシーを明かしてまで身を(クルマを)護るという、あの頃は末期的な状況だった。それまで当たり前だった「移動の自由」が特別なことだったんだなと感じます。

飯田裕子:公共交通機関ではできない、時刻表にしばられない自由な移動。それができるのがクルマですよね。

●ほっとできるプライベート空間、それがクルマ

日常の緊張感がふと緩む瞬間、その場所は車内。

飯田裕子:コロナの「おかげ」というと変かもしれませんが、清潔意識は格段に高まりましたね。

工藤貴宏:車内でも、換気を心がけるようになりました。一般道はもちろん、高速道路でもサイドウインドウはつねに1、2センチ下げて外の空気を取り込むようにしています。エアコン設定も外気導入を使うことがいまではすっかり習慣になりました。

飯田裕子:マイカー以外に乗るときには、まず最初に手の触れる部分から除菌シートで徹底的に拭いてから運転するようにしています。
でも工藤さん、一日の仕事を終えて自分のクルマに戻り、マスクを外した瞬間が、とてもリラックスできませんか? 本当にほっとできる。

マスクを外せば、リラックスのスイッチが入る。

工藤貴宏:たしかに、こんなにマスクするのが当たり前になる世の中になるなんて誰も想像してなかったから…

飯田裕子:女性の場合はマスクをすることの影響が大きいんですよ。ひとつは、マスクとお肌が常時、擦れているからかぶれてしまう。あと、しゃべっているとどうしてもメイクが落ちがち。だからどうしてもマスクの下のメイクは最小限になりますよね。実際に口紅の売上も落ちているそうです。

工藤貴宏:車内で、こんなに自分だけの空間が心地良いと感じる感覚って、コロナ前はなかったですよね。

飯田裕子:家庭が第一のプライベート空間なら、クルマは第二のプライベート空間ですよね。
そしてクルマの中は、きっちりと除菌・消毒し清潔に保っていればクリーンルームみたいなもの。

工藤貴宏:ピリピリした世界から「守られた空間」に戻ってくるから、ほっとできるんですね。

●車内の「守られてる感」が心地いい

車内を常に清潔に保つための苦労もある。

工藤貴宏:自分のクルマを持っていることがこんなに心の平穏につながるとは思わなかったです。

飯田裕子:レンタカーやカーシェアだと、きっとそんな気持ちにならないよね。除菌の手間もかかるし。でもこれだけ毎日ひんぱんに消毒をしているとどうしても手指が荒れてしまう。

工藤貴宏:ステアリングを握っていると手指が必ず視界に入るから余計に気になるんです。

飯田裕子:とくに寒い季節は、水仕事・消毒・乾燥と、女性にとってお肌の“三重苦”の時期です。
保湿のためにはこまめにハンドクリームを塗るのが有効な対策なんですが、クリームの性質によってはステアリングがテカテカになってしまう(笑)。そのあたりの事情をよく考えられた、さらさらした触感のクリームも多く販売されています。使う頻度が高いだけに、肌ケアを考えた商品がたくさんあるのは女性にとってとてもうれしいですね。

●人・モノとの接触を極力減らす工夫を

給油後の手洗いもルーティンになった。

飯田裕子:クルマと暮らす生活では、どうしても人・モノと接触する機会は避けられないですよね。とくにサービスステーションで給油するシーンでは支払いの際、伝票にサインするときお借りするボールペンとか、セルフ給油のときに握るノズル、タッチパネルなどに触れるのがとても気になります。

工藤貴宏:僕も給油した後は、手洗いするのが習慣になりました。

飯田裕子:例えば、EasyPayなど非接触の支払い方法は安心ですよ。タッチパネルやボタンを直接、指で押さないためのキーホルダーも売ってますよね。あれ使ってみようかな。

工藤貴宏:使い切りの手袋を用意しているサービスステーションもありますよね。
あと、料金やチケットをやりとりする高速道路の有人ゲート。ここは人との接触ポイントの代表的なものだよね。だからこそ、有人ゲートで止まらなくて済むETCの利点をあらためて感じられた。

飯田裕子:おびえるだけではなく、新しい生活様式に正しく対処していくことが大事ですよね。

●愛車を気づかってあげれば、いいことがいっぱい

タイヤの健康状態を常にチェック。

飯田裕子:そしてマイカーを所有・維持していく上で避けて通れないのがメンテナンス。最近ではスマホで点検時期が来たことを教えてくれたり、オーナーと賢くコミュニケーションが取れるクルマも増えてきたけど、だけどクルマは「機械」。けっしてメンテナンスフリーではない。

工藤貴宏:そんなとき頼りになるのがサービスステーションですね。

飯田裕子:何かあったら警告灯やワーニングで教えてくれるけど、まずはそうならないように事前に気遣ってあげるのも大事。

工藤貴宏:若い頃にサービスステーションでアルバイトしていた僕の経験から言わせていただくと(笑)、クルマをしっかりとメンテナンスしていれば、いいことがいっぱいある。

飯田裕子:たとえばタイヤ。寒波が来たりして寒暖差が大きくなるだけで、タイヤ内の空気圧って下がるんですよ。そうするとバーストの危険性が高まる。

工藤貴宏:さらにタイヤは、パンクしていなくても気づかぬうちに空気漏れをしているという事実も知っておいたほうがいいですね。その減る量はひと月あたり5%とも10%ともいわれていて、そのまま乗っていると偏摩耗や、ここでもバーストの危険があります。
何より、きちんとメンテナンスしていればもっと長く乗れたはずなのに、思わぬタイヤ交換という無駄な出費が発生してしまう。

飯田裕子:日常からタイヤの状態をチェックしつつ、定期的にローテーションしてあげるなど良好な健康状態を保つだけで、節約につながるんですね。

工藤貴宏:空気圧を適正に保つことは燃費にも影響するしね。エコタイヤ選びも大事だけど、空気圧の管理はそれ以上に重要です。

●クルマが健康なら、ドライバーも安心

エンジンにマッチしたオイルの選択が大事。

工藤貴宏:エンジンオイルも同じ。定期的に交換してあげることで燃費にもいい影響が出るし、エンジンの寿命も延びる。

飯田裕子:そう、私たちのようにマイカーが活躍する頻度が増えた皆さんもきっと多いことと思います。だからこそエンジンオイルのコンディションについて気にしてほしいですね。
「近所をちょこちょこと移動するだけだから関係ないわ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、このような乗り方のほうがじつはエンジンオイルの劣化が進むんです。

工藤貴宏:いわゆる「シビアコンディション」だね。エンジン内部の結露した水分がエンジンオイルの劣化を進めてしまう。これではせっかくのエンジン保護性能は発揮できないですね。

飯田裕子:オーナーによってクルマの使い方はさまざまですね。シェルだったら確か性能に合わせて7種類オイルがあるんですよ。例えば、シビアコンディションなら、 「ULTRA」や「HX8」「HX7」がエンジンの冷えている状態でもエンジンを保護する添加剤が入っているので最適かも。

工藤貴宏:でも、もちろんいいエンジンオイルを入れるのもいいけど、交換サイクルにもこだわりたいね。どんなに高価なオイルでも、時間が経つにつれ必ず性能は落ちてくるから。推奨のサイクルは走行5,000kmまたは6ヵ月ごとの交換。

飯田裕子:また、乗り方に合ったエンジンオイルを選ぶこともできますよね。

工藤貴宏:これから雑誌の仕事で長距離ツーリング企画がもっと増えてくるようなら、マイカーに「ULTRA 5W-40」とか入れてみたい。

飯田裕子:省燃費エンジンで増えてきているオイルの指定粘度「0W-16」推奨車に向けた専用タイプもありますよ。「HX8  0W-16」がそれですね。

工藤貴宏:「0W-16」の指定のクルマ、増えてきたよね。さらさらの粘度のオイルの使用を前提に開発されたエンジンだけに、マッチングは気にしたいところ。クルマが指定する粘度グレードのオイル規格は、以前よりもしっかり守ったほうがいいです。

飯田裕子:まさに適材適所ならぬ“適材適油”といえますね。
クルマはどこまでいっても「機械」。いつも気にしてあげて、ひと手間かけてあげることが寿命を延ばすコツです。

工藤貴宏:空気圧やエンジンオイルのコンディションをチェックする場所としても、サービスステーションという存在は欠かせないね。ちなみに僕は、有人のサービスステーションとセルフ式は、使い分けをしたほうがいいと思ってます。

飯田裕子:使い分けるとは?

工藤貴宏:クルマの扱いに自信がなかったり、知識に不安があるなら、有人のサービスステーションに行くのがいい。「こんなこと質問するのは恥ずかしい」ような小さなお悩みも、スタッフさんならきっとやさしく教えてくれるはず。

飯田裕子:そうそう、クルマを買ったお店に聞きに行くほどでもないようなことって日々、ありますよね。
そして通い続けることで顔見知りになると、もっと安心感が高まる。私の行きつけのサービスステーションは、もはや「私と一緒に愛車を大事にしてくれる存在」です(笑)。
洗車も自分で洗うと、汗をかいていることばかりに満足してしまって、洗ってる「つもり」になってるんですよね。ときどきサービスステーションで洗車をお願いして、仕上がったクルマを友人に見せると「うわ、裕子のクルマ綺麗じゃん」ってほめられた。やはりプロの技は違うんだな、と。

工藤貴宏:それ激しく同意(笑)。僕もときどき気合いを入れて洗車することがあるんだけど、サービスステーションで洗車をおまかせするほうがはるかに綺麗になる。僕の場合、洗う段階で一生懸命になり過ぎて早々に集中力が切れて、後半の拭き上げが甘くなるのが原因なんだけど。最近増えてきた背の高いSUVの洗車も、無理せずまかせたほうが断然ラク。

飯田裕子:プロにおまかせすると、私たちでも「気づき」が多いよね。

●クルマも道も進化する。旅の途中の楽しみ方

飯田裕子さんの愛車、ポルシェ・ボクスター。
飯田裕子さんの愛車、ポルシェ・ボクスター。

工藤貴宏:新東名のように、気持ちよく走れる道路も増えてきました。

飯田裕子:クルマでの旅の醍醐味は、目的地までの道程も楽しめることですね。私はSA(サービスエリア)、PA(パーキングエリア)に気ままに立ち寄って美味しいものを見つけるのも大好きです。
いまはコロナでお休みしているようですが、まぐろの解体ショーを催していた新東名のNEOPASA駿河湾沼津は好きでした。あと、小田原厚木道路の平塚PA。店内調理なので、ほかほかのおにぎりをいただくことができます。

工藤貴宏:遠出の際に役に立つのはやっぱりACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)。今では軽自動車でもACCを備えるクルマが増えてきた。

飯田裕子:圧倒的に疲労が少ないですよね。とくに渋滞にはまったときがラク。わずかに進んでは止まる、の繰り返しのストレスあふれるペダルコントロールから解放される喜びといったら。

工藤貴宏さんの愛車、ルノー・ルーテシア。
工藤貴宏さんの愛車、ルノー・ルーテシア。

工藤貴宏:もう、ACCのない世界には戻れない(笑)。渋滞時は気のゆるみによる追突事故が多いからね。ACCはそれを防いでくれる。

飯田裕子:私はときどき東京~北海道などのロングドライブをするんですが、ACCの登場以降とっても「近く」感じるようになりました。私も実感してますが、私のゴルフ仲間も口を揃えて、ゴルフ場までの行き帰りの疲れが圧倒的に減ったと言ってます。プレーに全集中できるって(笑)。

工藤貴宏:これからハンズオフでドライブできるクルマもますます増えてくるだろうし、自動運転の普及でドライブの世界も新しいフェーズに入っていくね。
満タンにしたなら、無給油で1,000km近く走れるクルマも増えてきたし、トヨタMIRAIの水素のように、燃料の選択肢も増えた。

飯田裕子:運転を楽しめるスポーツカーも健在です。クルマにまかせるシーンが増えてくるだけに、クルマを気遣ってあげることはいまよりもっと重要になってきますね。

工藤貴宏:でもやっぱり、内燃機関ならではの味を楽しむのはクルマ好きならではの醍醐味ですよね。

飯田裕子:最近、強烈な印象を与えてくれたのはGRヤリスかな。とてもいいエンジンと感銘しました。ガソリンエンジン車とのコミュニケーションはあらためて「エモい」と思った。

工藤貴宏:静かなEVと相反する荒々しいフィーリングだけど、これもまた多様性(笑)。

正しいドライピングポジションでクルマと対話する。

飯田裕子:そしてクルマをしっかり味わうためには正しいドライビングポジションを取ること。前後の位置決めは、かかとをフロアに着けてわずかに膝が曲がるくらいの位置にシートスライドを合わせてあげるのがいいです。
そしてシートの高さは、きちんと遠くを見渡せる高さに合わせる。先の状況を早く察知・予測できるから「急」が付くアクションをしなくていいし、無駄な動作がないから同乗者にとって不快な運転にならない。シートとステアリングの位置関係は、背中をシートに付けた状態でステアリング上部に手首の位置がくる位置がベストです。こうしてシートに正確に身体がしっかりフィットした状態になれば、より操作に集中できます。
女性の場合ならとくに、凜と背筋の伸びている姿勢は、何より運転がうまそうに見えますよ(笑)。
悪い姿勢で運転していると微妙なペダルワークができないし、どうしてもラフで「場当たり的」な運転になり危険です。良い姿勢は、クルマをきびきびとスポーティに操ることができるから、運転がもっと好きになりますよ。

工藤貴宏:無駄な加速もしなくなるから、エコドライブにつながるしね。

飯田裕子:クルマと最高のコミュニケーションが取れると「エコ」「セーフティ」「スポーティ」の3つの要素が自然なバランスでつながるんです。

工藤貴宏:そうだね。進化したクルマと、道と、最高のコミュニケーションをこれからも楽しんでいきたいですね。

(文:畑澤 清志/写真:前田 惠介)

※この取材は緊急事態宣言前の2020年12月21日に、感染防止対策を徹底した上でソーシャルディスタンスを保って行われました。

 

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