低速でも効くエアロパーツの性能に驚き!【フリード・モデューロX試乗】

■エアロパーツはスポーツカーのダウンフォースねらいだけじゃない

ホンダの関連会社で純正オプションなどの開発、製作、販売を行っているホンダアクセスは、モデューロXというブランドでコンプリートカーも手がけています。初代のモデューロXは2013年1月に登場したN-BOXで、今までに6モデルを投入。累計で1万4000台以上を販売している人気モデルです。

FREED_ModuloX走り
安定した走りを見せるフリード・モデューロX

今回試乗したのは2017年12月に市場投入されたフリード・モデューロXのマイナーチェンジ版です。

ベース車となるフリードが2019年10月にマイナーチェンジ、モデューロXも2020年5月にはマイナーチェンジ版が発売されていました。今回の試乗はフリード・モデューロXに採用されているエアロパーツの性能を確認することがおもな目的となりました。

FREED_ModuloX スタイル
FREED_ModuloXのスタイリング
FREEDスタイリング
ノーマルのフリードのスタイリング

そのため試乗方式が少し変わっていました。舞台は袖ケ浦フォレストレースウェイ。コースは通常どおりなのですが、途中からパイロンによってコース幅を約2mに規制し、ハンドリングの正確さを確認できるようになっていました。

また、最終コーナー(ここも道幅が規制されています)に、段差を付けるためにハンプを設置、1コーナーには散水が行われ、ウエット性能もチェックするようになっていましたが、あいにくの雨でコースは全面ウエット。ただし、1コーナーはよりウエットな状態でした。

用意されたモデルは3種。ノーマルモデル、モデューロXにノーマルの前後バンパーを装着したモデル、モデューロXです。モデューロXのノーマルバンパー装着車が用意されたのは、足まわりで走りが変わったのか? それとも空力で走りが変わったのか?を確認するためです。

FREED_ModuloX 走りハンプ
ハンプに向かって走るFREED_ModuloX。後方はノーマルバンパー装着車

ノーマルで走った後にモデューロXにノーマルの前後バンパーを装着したモデルで走ると、全体にシャキッと引き締まった感覚になっていることがわかります。足まわりで変更になっているのはホイールとショックアブソーバー&スプリングです。

車高ダウンは行われていませんが、全体的に引き締まり感が高まり、ステアリング操作に対する反応がシャープで正確さが増しています。また、動きが引き締まったのにも関わらず、とくに硬いという印象はなく乗り心地も向上。後席に乗っていた編集長も「こっちのほうが乗り心地がいいな」と言っていました。

FREED_ModuloX 走りターンイン
ターンインの姿勢も作りやすい

さて、いよいよメインディッシュのフリード・モデューロXです。モデューロXのフロントバンパーは、バンパーサイドに“エアロフィン”と呼ばれる凸形状、バンパー下部中央にその名のとおりスロープ状の“エアロスロープ”、バンパー下部左右に複数の突起を設けた“エアロボトムフィン”が取り付けられています。また、全体のフォルムも見直され、空気の流れをスムーズにしています。

FREED_ModuloXエアロフィン
レーシングカーだとカナードが付く部分に装着されるのがエアロフィン
FREED_ModuloXエアロスロープ
バンパー下に取り付けられるエアロスロープ
FREED_ModuloXエアロボトムフィン
バンパー両サイド下部のエアロボトムフィン
FREED_ModuloXロゴ
アンダーグリル中央にはModuloXのロゴが入る。しかしこの部分はナンバーを装着すると隠れてしまう。サーキットなどでフロントナンバーを外すと現れるというわけだ

ピットアウトするとすぐにその効果を感じられます。まず、直進安定性がかなりよくなっています。

ステアリングを親指、人差し指、中指の3本の指でささえるようにして走ると、明らかにビシッとしているのがわかります。空気で出来た見えないトンネルの中でボディをサイドから押しつけられながら前に進んでいる感じです。とはいえステアリングを切っていったときには、しっかりと曲がっていく感覚があります。その際も空気のトンネルが行きたい方向に伸びていっているような感覚で、しっかりとした安定感があります。

エアロパーツあり/なしで試しているのでこんなことを思うのでしょう。普通に乗ったら、普通に安定しているだけという印象になると思います。1コーナーの深めのウエットでも安定感は増していて、イン側の縁石に近づけやすい印象がありました。

FREED_ModuloX走り狭い
パイロンで規制された狭いコースも正確にトレースするFREED_ModuloX。後方はノーマルバンパー装着車

注目のコース幅を狭めているセクションでも、不安感なくラインをトレースしていけます。ここのセクションの指定速度は50km/hです。ノーマルモデルでは途中で修正舵が何度か必要、モデューロX+ノーマルバンパーでも多少の修正が必要だったのですが、モデューロXではねらったとおりにスムーズにトレースします。

なにも聞かされずに乗ったら、きっと不思議な感覚になるでしょう。ハンプを超えたときも、着時後の横方向へのズレがないのです。同じ足まわりのモデューロX+ノーマルバンパーでは、ズレがあったのでこれは空力の効果と考えていいのでしょう。後席乗車の編集長いわく、「運転がうまくなったように感じる」というものでした。

FREED_ModuloXインパネ
専用革巻きステアリングが装着される
FREED_ModuloXシート
シートは、プライムスムース×スエード調の専用ブラック コンビシートでModulo Xロゴが入る
FREED_ModuloXフロアマット
専用フロアカーペットマットは、プレミアムタイプでModulo Xアルミ製エンブレムが付く
FREED_ModuloXドアミラー
クリスタルブラック・パールの専用ドアミラー

高速にならないと意味がないと思われているエアロパーツですが、一般道を普通に走るレベルでも十分な効果を発揮することが確認できました。

こうしたフィーリングの積み重ねが、安心で疲労感の少ないドライブを生み出す事は確実。フリード・モデューロXはベース車のキャラクターをさらに強調し、魅力アップしているモデルといえます。

【FREED Modulo X主要装備】
<エクステリア>
○ 専用フロントグリル
○ 専用フロントエアロバンパー
○ 専用サスペンション
○ 専用15インチアルミホイール
○ 専用サイドロアースカート
○ 専用リアロアースカート
○ 専用LEDフォグライト
○ 専用フロントビームライト
○ 専用リアエンブレム(Modulo X)
○ 専用ドアミラー(クリスタルブラック・パール)など
<インテリア>
○ 専用ブラック コンビシート
(プライムスムース×スエード調/Modulo Xロゴ入り)
○ 専用本革巻ステアリングホイール
(ディンプルレザー&スムースレザー/ピアノブラック調)
○ 専用フロアカーペットマット
(プレミアムタイプ/Modulo Xアルミ製エンブレム付)など
9インチ プレミアム インターナビ装着車
○ VXM-207VFNi(Gathers)(専用オープニング画面)
+ドライブレコーダー(フロント用)DRH-204VD(32GBキット)

●価格(消費税込み)
Modulo X Honda SENSING 1.5ガソリン 6人乗り:295万200円
Modulo X Honda SENSING 1.5ガソリン 7人乗り:297万2200円
HYBRIDModulo X Honda SENSING 1.5ガソリン 6人乗り:325万6000円
HYBRIDModulo X Honda SENSING 1.5ガソリン 7人乗り:378万円
※9インチ プレミアムインターナビ装着車は、23万5400円(消費税10%込み)高

(文:諸星 陽一/写真:前田 惠介)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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