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■S耐2020・井出有治の『Floral Racing with UEMATSU』、チーム発足2戦目にしてクラス優勝!
●元F1パイロット・井出有治の別名「嵐を呼ぶ男」パワー全開!?
clicccarテストドライバー&元F1パイロットの井出有治さんが1シーズンぶりに日本のレースに参戦することでclicccarも注目している『ピレリスーパー耐久シリーズ2020』(以下、S耐)。すでに2020年10月31日(土)~11月1日(日)には第3戦『スーパー耐久レースin岡山』(グループ別の3時間耐久)が開催されています(コレを読むときにはもしかしたらRd.3岡山チェッカー後かも汗)。
が、現在井出さん、人生をかけた新たな挑戦に奮闘中で(★この詳細は近日公開! お楽しみに~!!)時間が…無い。ってことで、半分脅してとっ捕まえ、強制的に終了済みの2戦分をレポートしてもらいました。(clicccar・永光やすの)
※文末にRd.1・富士24H、Rd.2・SUGOのFloral Racing channel動画が2本ありますので視てね!
●開幕戦にしていきなりの富士24時間耐久は、台風10号に襲われクラス2位
ご無沙汰してしまってスミマセン! 井出有治です(汗)。
冒頭にもあるように現在、今までのレーシングドライバー人生をかけた新たな事業に挑戦中で、すっごく超多忙…。レポートを楽しみにしてくださっているclicccar読者の皆さんにS耐・ST-TCRシビックの報告がこ~んなに遅くなってしまい申し訳ないデス。
ってことで、まずは開幕戦となった富士24時間から。
ご存じのようにコロナウイルスによる影響からS耐開幕戦が延び、2020年9月5日~6日に行われた『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース』が開幕戦となりました。
#290・Floral Racing with UEMATSUのドライバーは、箱乗り職人Aドライバー・植松忠雄選手、松本恵二さん最後の弟子Cドライバー・川端伸太朗選手、そして24時間のみの助っ人ドライバーとして、スーパーGT選手権(GT500・ARTA NSX-GT)やスーパーフォーミュラレース(TEAM MUGEN)で活躍するDドライバー・野尻智紀選手、そしてボクBドライバー・井出有治の4名体制です。
もうさ、シリーズを数戦やってから超ハードな24時間耐久ならいいんですけど「いきなり初戦で24時間!?」と、レースウィークに入る心構えから違和感でしかなく…しょうがないんですけどね。しかも24時間のレース中は台風10号の影響から何度も大雨に襲われ、長年レースをやってきた中でも初めてくらいなSC(セーフティカー)、FCY(フルコースイエロー・全コース追い越し禁止)、赤旗中断がありました。
マシンのST-TCRシビックはシェイクダウンテストからトラブル多発でまともに走れない状態でした。が、富士24時間のレースウィークに入ってからは一度もトラブルが無かったのは、チームのみんなが苦労してちゃんとクルマを用意してくれたため。ホントに感謝しかありません!
結果、#290は見事完走! そしてクラス2位を得ることが出来ましたー! 考えてみたらボク、国内では10年ぶりの表彰台なんですよねー。そう、あれは…2010年、スーパーフォーミュラ最終戦のJAFカップで2位表彰台以来です。しかも、同クラス同ST-TCRシビックのライバルである元F1レーサー・中野信治選手にも予選タイムで勝ったし(ボク1分51秒373/中野選手1分51秒958)!
次戦のRd.2・SUGO3時間は表彰台のてっぺん目指して!
●第2戦SUGO 3時間も台風襲来…超ウェット路面の中、スリックタイヤで泣きながら走った7周、でもクラス優勝!
2020年10月11日に行われた第2戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』は台風14号に襲われました。2戦続けて台風なんて…。「嵐を呼ぶ男」の称号を戴いている(!?)ボクに課された試練なのか!?(笑)
10月10日の予選も超ウェット+グループ2の予選時間が押したため、グループ1の予選アタックは中止に。グリッドは前戦富士24時間の結果順(シリーズポイント順)ということで、予選2位からのスタートです。
(※グループ分け:グループ1=ST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-1、ST-2、ST-3クラス/グループ2=ST-4、ST-5クラス)
スタートはAドラ植松選手がレインタイヤで出撃です。まだ雨は降っているとはいえ、路面が乾き始めたらしい?とき、ボクにバトンタッチのタイミングが近づきます。路面状況、雨雲レーダー…さぁタイヤはどうする?
「ドライでイケる!」走行中の植松選手から無線が入ります。「マジですかー!?」履くドライタイヤは皮むきもしていない新品スリックです。「本当にスリックじゃ無理だと思うんだけど…」って言ったんですが、チームがドライでって言うならイクしかありません。
ボクにドライバー交代して、タイヤもやっぱりドライのスリックでコースイン。しかし、路面はまだウェットです。しかもコースインとほぼ同時にまた雨が強くなってきちゃいました。そのときのボクの心のつぶやき…「さすが雨男だな」です(笑)。
「状況はどう?」って無線で聞かれたけど、まだ4コくらいしかコーナー走ってないから分かるわけがない! 降り始めた雨で濡れた路面を、ドライのスリックでコントロールするだけでも~必死! 恐怖の涙で前が見えません(ウソ!)。
●最小ピットイン回数でいくしかない!
「頑張ってコントロールして!」無線で檄が飛んできました。
「無理無理無理無理ムリ~!」
SUGOのエスケープゾーンは筑波サーキット並みに無いので超危険! 何かあるとクシャクシャになっちゃいます。最終コーナー、FFなのにウ~ゥウ~ゥしながら走って、でも優勝を狙っているボクらには、タイヤ交換だけでピットインするわけにはいきません。タイムロスになっちゃいますからね。
「もうちょっと頑張って!」と、また無線。頑張れと言われれば頑張るけど、他のマシンはウェットタイヤ。タイム差がありすぎたらレースになりません。しかしレギュレーション上、ボクとCドライバーの川端伸太朗選手は1時間50分以上走ってはいけないのです。川端選手がその時間以内で走れるまで、ボクはドシャ降りの中、スリックで頑張らなければいけなかったのです。
必死こいてコントロールしながら7周。時間を計り、ようやくドライバー交代できる時間になりました。
その後、ドライバー交代とともにタイヤをレインに交換。この時点でトップの#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMSとは2周の差。それでも川端選手がコース上で#22を抜き、ゴールまで走り切る予定でした。が、ガス補給がトラブルから上手くできていなくて、再度ピットインしてスプラッシュ(ガス補給のみ)。それでもガスが少ししか入っていなくてラスト数周は超燃費走行しながらも、見事な走りでトップでゴールすることが出来ました!
若手の川端選手は物凄く成長しています。このS耐Rd.2の翌々週に鈴鹿サーキットで行われたS-GT Rd.6でも、川端選手が乗る#21 Hitotsuyama Audi R8 LMS はGT300で優勝したので、川端選手は2連勝です!
●たったの7周…だけど、濃い7周でした
ということで、S耐Rd.2のSUGOで、ボクは7周しかしていません。でもハンパなく濃い7周でした。
ボクにとってSUGOのコースは得意というか、好きじゃないけどゲンのいいサーキット。初めてGT300で勝ったのもSUGO、GT500の初ポールポジションもSUGOでした。…怖いコースだけどね。
表彰台の1番上は気持ちいい!
※10月31日に行われたS耐Rd.3岡山では、井出有治選手の#290・Floral Racing with UEMATSUが予選1位を獲得! さて本番は? それはまた後日ご報告!
(文:井出 有治・永光 やすの/画像:折原 弘之・井出 有治・Floral Racing with UEMATSU/動画:Floral Racing channel)
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【関連リンク】
井出有治オフィシャルwebサイト
https://www.yuji-ide.com/
Floral Racing channel
https://www.youtube.com/channel/UCQqPHs5ia7ehJ2Pg4udHt7Q