新型・フェアレディZはピュアスポーツカーでありながら利便性も追求。プロトタイプのコクピットにACCのスイッチが確認できた!

■内外装だけなく、テクノロジーも「Zの伝統」に則ったアプローチ

新型フェアレディZプロトタイプ
四角い大きなグリルはフェアレディZの伝統的モチーフ。ヘッドライトは初代Zのスペシャル版である240ZGをモチーフにした意匠だ

2020年5月、日産が次世代モデル12車種を公開した際に、フルモデルチェンジが明示されたフェアレディZ。環境優先の時代に、どのようなスポーツカー像を提示してくれるのか世界中のスポーツカーファンの注目を集めていましたが、その姿がついにあらわになりました。

公開された車両は「プロトタイプ」となっていますが、少なくとも内外装については市販状態といいます。現在は走りの機能を最終的に煮詰めている段階とアナウンスされています。

新型フェアレディZプロトタイプ
初代Z(S30)のフォルムに、モータースポーツでも伝説を残した4代目Z(Z32)のテイストを盛り込んだことが後ろ姿から感じられる

初代モデルを中心に、過去のフェアレディZをモチーフとしたスタイリングは、間違いなくフェアレディZと感じられるものでありながら、それでいて新しいデジタル世代にも刺さりそうな絶妙のバランスで成り立っているもの。

パワートレインはV6ツインターボと6速MTを組み合わせたものと発表されました。現在のクルマに求められる電動化については触れられていませんが、リーフやアリアといったBEVを量産する日産であればメーカーごとのCO2排出量規制において有利で、こうしたピュアスポーツカーを生み出す余裕があるということなのでしょうか。

新型フェアレディZプロトタイプ
AT全盛の時代に6速MTを設定。手引きのサイドブレーキとしているのもドライビングを楽しむためのスポーツカーといった雰囲気のコクピットになっている

ロングノーズ・ショートキャビンのシルエットはいかにも古典的なスポーツカールックで、V6エンジンは初代Zを思わせるフロントフード下に収まっているのは確実。もちろんリア駆動と予想されています。

コクピットもオーソドックスなデザインで、メインメーターは12.3インチディスプレイを使ったフルデジタルタイプでありながら、ダッシュボード上に3連の追加メーカーを配置するなどZのヘリテージを感じさせるものとなっています。

さらに注目したいのは6速MTのシフトノブ横にサイドブレーキレバーが確認できること。最近ではスポーツカーであってもEPB(電動パーキングブレーキ)が主流となりつつありますが、サイドブレーキを利用したドリフトを楽しむといったドライビングシーンが想像できるコクピットとなっているのです。

新型フェアレディZプロトタイプ
Z専用デザインというディープコーン形状のステアリングホイール。その右スポークにACCらしきスイッチ類が確認できる

だからといって硬派一辺倒というわけではなさそうです。ステアリングホイールをクローズアップして見てみると、クルーズコントロールらしきスイッチが確認できます。車間距離を調整するボタンも見えますから、先行車との距離を一定に保って追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)を装備していることが予想できるのです。

新型フェアレディZプロトタイプ
ボディサイズは全長 4,382 mm・全幅 1,850 mm・全高 1,310 mm。タイヤサイズはフロント 255/40R19、リヤ 285/35R19(数値はプロトタイプのもの)

仮にACCを備えているとすれば、カメラやミリ波レーダーといった何らかのセンサーを与えられていることを意味します。つまり、AEB(衝突被害軽減ブレーキ)など2020年代のスポーツカーにふさわしい先進安全装備を用意しているはずです。

もともとフェアレディZはピュアスポーツカーでありつつ、ツアラーとしてのキャラクターも持っていました。MTながらACCなどの先進運転支援システムを搭載し、さらに安全性を最新テクノロジーによって担保するというのは、まさにZの伝統に則ったアプローチといえそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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