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■クルマに搭載した通信システムによって外部と情報交換するテレマティクス技術を活用
●運転支援や自動運転などの安全性やネット通信を介して利便性などを向上
自動車産業とモビリティの将来動向を示す注目のキーワードに、「CASE」があります。CASEは、C(Connected:コネクテッド)、A(Autonomous:自動運転)、S(Shared & Service:シェアリング/サービス)、E(Electric:電動化)の頭文字をとった造語です。
4つの次世代トレンドの中からC:コネクテッド技術の現況について、解説していきます。
●コネクテッドとは
「コネクテッド」という表現が使われ始めて久しいですが、そのベースになるのはテレマティクス技術です。テレマティクスは、テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報処理)を組み合わせた造語です。
クルマなどの移動体に通信システムを搭載して、通信を利用してクルマにさまざまなサービスを提供する情報通信技術の総称です。
テレマティクス技術を活用したコネクテッドは、大量の通信情報を活用して、運転支援や自動運転などの安全性やネット通信を通じた利便性などの向上を実現します。
欧州では、2018年4月から販売されるすべての新車に「e-Call」システムの装着が義務化されました。e-Callとは、事故発生時にエアバッグや衝突センサー、発生場所などの情報を、車載通信ユニットを介して事故センターへ自動的に連絡するシステムです。
●コネクテッドでどんなメリットが得られる
コネクテッド技術によって、クルマの速度やブレーキ頻度、走行距離など運転状況と、周辺道路の交通状況といった様々な運転・交通に関するデータを取得して分析できます。
それらのデータを活用して、運転のサポートや危険な状況の察知と防止、クルマの状態診断、オーディオ・ビデオを使った車載エンターテインメント(インフォテインメント)機能、目的地に関する情報取得などのサービスが行えます。
また、クルマとクルマの車車間通信、クルマとインフラの路車間通信システムによって、周囲のクルマの位置や速度、車両制御情報などを取得して運転支援を行います。これらは、自動運転技術にも不可欠な技術です。
●トヨタのT-Connect
ほとんどの自動車メーカーは、すでに独自開発したテレマティクスシステムをベースとしたコネクテッド技術を採用しています。トヨタの「T-Connect」、日産の「カーウイングス」、ホンダの「インターナビ」などです。
代表例として、ここではトヨタのT-Connectを紹介します。
サービス登録車は、スマホの回線や車載通信機を介してクラウド上にある「トヨタスマートセンター」とつながります。そこで多くのサービス登録車の情報をビッグデータとして収集処理して、各種のサービスを提供します。
主なサービスは、以下の通りです。
・交通情報サービス
一般的な交通情報だけでなく、過去の情報をもとに行き先を予測しながらルート上の事故や渋滞状況、天気情報などを提供します。
・対話型オペレーション
オペレーターとの対話によるナビの操作や、AI(人工知能)との対話による目的地設定ができます。
・目的地や関連情報の推奨
過去の走行/行動パターンなどを学習して、推奨目的地や施設を提案します。
・地図の自動更新(マップオンデマンド)
その他の最新機能として、クルマの運転状況を販売店やセンターに送信して故障診断するリモートメンテナンスサービス、盗難防止のためのアラーム通知や車両追跡をするマイカーセキュリティなどがあります。
コネクテッドは、CASEの他の要素であるA(自動運転)、S(シェアリング/サービス)、E(電動化)をつなぐ重要な役割を果たします。
移動の効率化や交通安全、環境対応などに貢献するだけでなく、ドライバーと乗員にネット情報や娯楽などインフォテインメントを提供するという役割も、クルマの商品価値を上げるために重要です。
(Mr.ソラン)