アウディA8 55 TFSIクワトロは清水和夫が人生最後に乗りたいクルマ 2/2【SYE_X】

■出た名言!「A8は蕎麦屋の蕎麦。おかずが美味しいのではなく、蕎麦そのものが美味しい」

●気持ち良くて快適で楽しい、まさに3密なA8

2回に分けて紹介している、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんの『アウディA8 55 TFSI クワトロ』試乗インプレッション。「一度ジックリ乗ってみたかったんだよね」という、清水さんお気に入り&おススメのアウディ最上級グレードです。

アウディA8 55 TFSI クワトロ試乗
清水和夫の気になる一台、アウディA8 55 TFSI クワトロにジックリ試乗してみました。

前回1/2ではアウディの歴史に基づいた話、フェルディナンド・ピエヒ氏へインタビューしたときの話、アウディA8がアルミスペースフレームである意味…などのお話でしたね。今回の2/2では本格的な試乗インプレッションをお届けします。

心地よいJAZZYなサウンドと共に、では早速!

●A8はデカいだけじゃない、ドア4枚のスポーツカー

いや~! なにこのダンピング!! 荒れた路面でもサスペンションの上下の揺れが一発で収まるね。本当にスポーツカーに乗っているみたい。

というよりEVのテスラに乗っているみたい。まったくエンジンの振動や音が無いし、トルクが凄い。アクセルレスポンスもいいし、サスペンションはフラットライドでステアリングはクイクイ曲がる。ドア4枚のスポーツカーだね。

アウディA8 55 TFSI クワトロ試乗
アウディA8 55 TFSI クワトロは足もボディも走り味も特別な存在。

でも、普通の人はそう思っていないと思うんだ。アウディの一番デカいクルマ…としか思っていないかと。

A8は蕎麦屋の蕎麦だな。おかずが美味しいとかじゃなく、蕎麦そのものが美味しい!

蕎麦好きな清水さん
蕎麦好きな清水さんならではの名言が出た!

普通だったらMLB evo(※ドイツ語でModularer Längsbaukaste Baukastenn=縦置きエンジン用MLBプラットフォームの進化版)の延長線上で、A8もスチールボディで作りたくなっちゃうんだけど、ここだけは死守してアルミスペースフレームで頑張っているというところに、このA8の孤高さがありますね。

プレディクティブアクティブサスペンション
プレディクティブアクティブサスペンション

●ステアリングは軽めだけど、正確無比! それがA8

ドライブモードは、エンジンをかけた状態でAUTO。セレクトをダイナミックにするとちょっと固い方向に固定されます。で、その先にショーファーモードというのがあり、それは後席のVIPがマイルドに感じるモード。でも個人的にはAUTOで十分だと思います。

まぁアウトバーン200km/hで高速コーナー!なら少し硬めの設定でもいいと思うけど、日本のスピードレンジなら200%、AUTOでいいと思います。

ドライブモード
ドライブモードを示すモニター。普通ならエンジン始動時の状態「AUTO」で乗って欲しい。

褒め殺すわけじゃないけど、このエンジンは静かでトルクフルでEVみたい。ボディが細かい振動をビシッと抑えるし、大きな入力に対しては剛性感が非常に高い。アルミスペースフレームボディの優位性があるのだと思いますね。非常にフラットライドでダンピングがいいので、乗り心地が良く走る楽しさだけではなく、『気持ち良くて快適で楽しい』、この3つが密になっていますね。

アウディA8 55 TFSI クワトロのリヤビュー
アウディA8 55 TFSI クワトロのリヤビュー。アウディの中でも孤高な存在、それがA8.

こういうシャシー性能、乗り味が作れるのは、ドイツのプレミアムブランド…メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズなどと比較しても、このA8だけだと思いますね。ドア4枚のオーソドックスな4ドアサルーンに見えるのですが、走ってみると中身はドライバーズカーだなって感じがします。

アウディAシリーズは一環として、BMWのような走る楽しさ…みたいなものとはちょっと違い、もっと快適性と楽しさが同居しているような知的な感じ。まさにピエヒ博士が昔言っていた「アウディはソリッドなクルマだ」ということの意味に繋がるのだと思います。

試乗中の清水さん
A8は最後に自分がオーナーカーとして乗りたいクルマの内の1台。

いずれにしてもA8だけはアウディの中でも非常に孤高な存在だし、ラグジュアリーセグメントの中でもA8だけはポツンと群れから離れた個性を持っていると思っています。

このA8は最後に自分がオーナーカーとして乗りたいクルマの内の1台だと思いますね。

(試乗インプレッション:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)

アウディ A8 55 TFSI クワトロ
アウディ A8 55 TFSI クワトロ

■SPECIFICATIONS
車名:アウディ A8 55 TFSI クワトロ
全長×全幅×全高:5170(スポーツパッケージ5180)×1945×1470mm
ホイールベース:3000mm
トレッド フロント/リヤ:1635mm/1625mm
車両重量:2040kg(※1)
エンジン:V6 DOHCインタークーラー付ターボ
エンジン排気量:2994cc
ボア×ストローク:84.5×89.0mm
圧縮比:11.2
最高出力:250kW(340ps)/5000〜6400rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1370〜4500rpm
トランスミッション:8速ティプトロニックAT
駆動方式:4WD(quattro)
サスペンション F/R:ウイッシュボーン式/ウイッシュボーン式
ブレーキ F/R:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤ F/R共:255/45R19
燃料消費率 JC08モード:10.5km/L
車両本体価格:11,720,000円(税込)

(※1 取材車両は2110kg。プレディクティブ アクティブ サスペンション搭載車+30kg/ダイナミックオールホイールステアリング搭載車+20kg/インディビシュアル電動リヤシート装備車+20kg)

【関連記事】

清水和夫×アウディA8 55TFSIクワトロ試乗、これぞアウディのデファクトスタンダード! 1/2【SYE_X】
https://clicccar.com/2020/08/11/1000473/

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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