日本には導入されていない仕様も。40周年を迎えたフィアット・パンダの魅力とは?

■最新モデルにはBSG+12V搭載仕様も

現行フィアット・パンダは、フィアット500をベースに全高を高め、アップライトな乗車姿勢を与えることで、コンパクトでありながらも高い居住性を実現しています。

フィアット パンダ
初代フィアット・パンダ(パンダⅠ)

1980年に生まれたフィアット・パンダ(パンダⅠ)は、3ドア5人乗りハッチバックで、デザインはイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロが手がけています。

新しい前輪駆動プラットフォームが採用され、堅牢なボディと実用性を備えたスタイリングで人気を集めました。発売当初は45PSの4気筒903ccエンジンと4速MTの組み合わせでした。

フィアット パンダ
パンダ・イタリア 90

内装は、シンプルなダッシュボードと金属フレームに取り付けられたハンモックのようなシートが特徴。1984年に発売された「4×4」は965cc、48PSのエンジンと5速MTの組み合わせでした。

数多くの特別仕様車が設定されてきたパンダ。欧州で有名なのは、パンダ・イタリア 90の特別仕様車で、1990年のFIFAワールドカップのイタリア開催を祝ったモデルです。

■パンダの車名は1代限りだった!?

2003年に発表された2代目パンダ(パンダⅡ)は、当初Gingo(ジンゴ)という車名になる予定でしたが、ヨーロッパでの販売開始に先立ってPanda(パンダ)に改名されています。

フィアット・パンダ
ジンゴの名から一転してパンダに変更された2代目

2代目はご存じのとおり5ドアのみとなり、より丸みを帯びたエクステリアとアップライトなシートポジションになっています。

エンジンは1.1L(54PS)と1.2L(60PS)が設定され、5速MTを標準装備。1.2LにはオプションでDualogic(デュアロジック)シーケンシャルトランスミッションが用意されていました。

フィアット パンダ
2006年の「Panda 100hp」

2005年には、1.2L(60PS)のエンジンが搭載された「4×4」バージョンが復活。ユニークなバンパー、ルーフレール、厚みのあるボディサイドのモールディングなどが採用されています。

フィアット パンダ
2013年のPanda 4×4

そして3代目の現行パンダ(パンダⅢ)は2012年に誕生。5ドアハッチバックはフィアット500とプントの間に位置づけられ、69PSの1.2Lエンジン、TwinAir(ツインエア)と呼ぶ0.9L(85PS)のガソリンエンジンを設定。また、75PSの1.3 MultiJet(マルチジェット)ディーゼルというオプションもありました。

トランスミッションは、欧州ではすべてMTが標準装備ですが、TwinAirモデルにはDualogicシーケンシャル・トランスミッションが用意されていました。そのほか欧州では2014年に「Panda Cross 4×4」が投入されるなど、4WDのニーズは根強いものがありそうです。日本でも4WD+MTの限定車が何度かリリースされています。

フィアット パンダ
12VのBSGが搭載された最新のフィアット・パンダ

さらに欧州で2020年初頭に発売されるパンダ・ハイブリッドも加わっています。

70PSの1.0Lエンジンが搭載され、12VのBSG(ベルト一体型スタータージェネレーター)と組み合わせることで、パンダ・ハイブリッドは49.6mpg、89g/kmというCO2排出量を実現しています。

コンパクトなボディサイズながら、広いキャビンを備えたフィアット・パンダ。FFベースの4WDも備え、全天候型というキャラも設定されています。マイルドハイブリッドにより時代の要請に応じる構えで、将来の4代目が電動化を含めてどんなモデルになるのか気になるところです。

(塚田勝弘)

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この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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