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■クルマの維持費も含めた定額制
新型コロナウイルス禍の影響で、混雑する電車やバスなどの公共交通機関を使った移動がとても心配な昨今、クルマなら1人や家族だけなど少人数での移動になるため、「三密」のリスクは比較的少ないといわれています。
クルマは、普段は使わなくても、週末のちょっとした外出や買い物などにはあれば便利です。しかしその一方、クルマを購入すると車両代金の他に自動車税や点検・車検整備費用、自動車保険、駐車場代など様々な費用がかかります。
そこで、最近テレビCMなどでよく目にするトヨタのKINTO(キント)といった「クルマのサブスクリプション」はどうなのか? 同じく話題のカーシェアや、以前からあるマイカーリースなどとの違いも交えながらご紹介します。
●毎月の出費が分かりやすい
サブスクリプションとは「定額制サービス」のことです。すでに音楽・ドラマ・映画といったエンターテイメント分野では、月々定額を払えば「聴き放題」や「見放題」といったサービスが広く浸透していますので、ご存じの方も多いでしょう。
クルマの場合、多くのサブスクリプションサービスが設定する毎月の料金には、車両代やクルマにかかる税金、車検代やメンテナンス費用、自動車保険代など、クルマを維持するために必要な費用のほとんどが含まれています。
他に必要なのは、クルマを使った際に必要なガソリン代や高速道路代、駐車場代など。マイカーを購入した場合は、車検時の費用(10万円前後)や毎年の自動車税(2.0L車の場合で3万6000円~3万9500円)など、一定時期にまとまったお金が必要になります。
そのため、たとえば、子供の将来の教育費などで月々の積み立てをしたいけれど、クルマにかかる費用が心配な人などにとっては、出費が明確になるサブスクリプションは、「家計がやりくりしやすい」というメリットがあります。
また、設定されている車種であれば、好みのクルマに乗れるのも魅力です。
トヨタのKINTOの場合は、パッソやヤリス、アクアなどのコンパクトカーから、セダンではカローラ、SUVではライズやC-HR、ランドクルーザープラド、ミニバンではアルファードやヴェルファイアなどを用意。契約期間は3年、5年、7年から選べます。
また、高級ブランドのレクサス車にも設定があり、1台を3年間乗り続ける「KINTO ONE」というプランと、3年間で3台または6台のレクサスを乗り換えられる「KINTO FLEX」という贅沢なプランも設定されています。
●カーリースとの違いは?
一方、クルマを定額料金で利用するサービスには、カーリースもあります。法人向けだけでなく個人向けのマイカーリースもありますから、一般の方でも利用することができます。
マイカーリースも、月々の料金に車両代や税金、車検代など、基本的にクルマの維持に必要な費用が含まれています。月々の支払いが明確なので、家計のやりくりがしやすい点は同じです。
ただし、サブスクリプションと違って自動車保険代が含まれていないため、利用者自身で加入する必要があります。その点で、たとえば任意保険代が高い10代や20代の若い世代など、運転歴が浅い人にはサブスクリプションの方がメリットは大きいといえます。
マイカーリースの契約期間は2年~11年と幅広く、長期で利用することが可能。対するサブスクリプションでは、たとえばトヨタのKINTOでは、前述の通りトヨタ車の場合で3年、5年、7年といった3タイプの契約プランを設定。
最近では、たとえばホンダが中古車のサブスクリプション「HONDAマンスリーオーナー」を開始していますが、その場合は最短1か月単位でクルマの返却や乗り換えが可能。運営会社にもよりますが、サブスクリプションの方が、比較的短期間の契約設定があるといえるでしょう。
●使いたいときに使うカーシェア
一方、都市部を中心に最近利用者が増えているカーシェアは、駐車場すら不要のサービスです。
コインパーキングやマンションの駐車場などに用意してある専用のクルマを、不特定多数のサービス登録者が使いたいときに使いたい時間だけスマートフォンなどで予約して利用することが一般的です。また、ガソリン代や自動車保険料などもすべて利用料金に含まれます。
大きなメリットは、普段はクルマが不要な人でも買い物などで大きな荷物を運びたいときなど、必要なときにだけ利用できること。
使える時間も、たとえば大手カーシェア業者タイムズカーシェアの場合は、15分単位で利用可能。
月額基本料は個人プランの場合で880円ですが、無料利用料金880円分がついてきます。実際に利用する場合は、ほかに利用時間に応じた料金がかかりますが、軽自動車やコンパクトカーを利用するベーシッククラスの場合で15分毎に220円。無料利用料金があるため実質60分は無料で使えることになります。
ちなみに、サブスクリプションの月々の料金は、たとえばトヨタのKINTOの場合がコンパクトカーのパッソが3年契約で月額3万2780円~。
ただし、サブスクリプションが契約期間内ならいつでもクルマを使えるのに対し、カーシェアでは、クルマに空きがないと利用できません。そう考えると、カーシェアは、あまり頻繁にクルマを使わない人にはメリットが大きいサービスだといえるでしょう。
よくレンタカーとも比較されるカーシェアですが、大きな違いは利用や返却する時間です。レンタカーは基本的に6時間や24時間、1か月や2か月単位。また、営業所の営業時間内に返却する必要があります。一方のカーシェアは、基本的に24時間いつでも利用・返却が可能です。
サブスクリプションをはじめとするこれらサービスは、新型車を利用するケースが多いのも特徴です。そのため、クルマを購入し長年乗り続けることに比べると、日進月歩する最新の先進安全技術などが利用しやすいといったメリットもあります。
かつては、クルマは自分で車両を購入し所有・維持するのが当たり前でした。ですが、これからは自分の使い方や住環境、お財布事情などに応じて賢く選ぶことができる時代になったといえます。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、平塚直樹)