万が一、交通事故に遭ったら? 事故の際の行動と手続きを知っておこう【保険/車検のミニ知識】

■備えあれば憂いなし、事故対応について知っておこう

交通事故の件数は、自動車技術の向上もあり年々減少傾向にあります。しかし、クルマを運転していれば誰もが事故のリスクにさらされていることを認識しなければなりません。

今回は万が一の事故の際に、どのような行動や手続きをすればいいのか、解説していきます。

●事故が起きたら、焦らず冷静に

ドライバーにとって交通事故はできれば経験したくないもの。突然起きる事故のことを常に考えて運転しているドライバーがどれだけいるでしょうか。

自動車事故には、クルマとモノ、クルマとヒト、クルマ同士など様々な種類や内容があります。

事故を起こしてしまったら焦らず冷静に対処することが必要であり、前もって適切な対処のしかたを把握しておくことで、突然起きる事故の時に役に立つでしょう。

事故
事故が起きてしまったら、まずは冷静に対処することです。焦る気持ちは抑えて、状況の把握に努めます。

まず事故が発生した際には、落ち着き冷静になることが大事です。

まわりの状況を確認し、加害者でも被害者でも人が関係した事故の場合は負傷者の救護を第一に考えましょう。適切な対処を行い、どの程度の怪我をしているか確認します。

まずは周囲の安全を確認し、道路上では後続車両が追突してくる可能性があるため、負傷者を安全な場所に移動させ二次災害が起きないように注意します。

たとえ軽傷と考えられる怪我でも、頭部に強い衝撃を受け内部に損傷を負った場合、事故直後は興奮し痛みや異変に気づくことができず、時間がたってから痛みなどの症状が出てくることがあります。

そのため人が絡んだ事故の場合は、どのような状況でも救急車の要請を行いましょう。

救急車
単独事故の物損以外には、人が絡まない事故はありません。軽傷に見えても後々症状が悪化することも多いです。まずは、救急車を呼ぶことが賢明でしょう。

救急車の手配が済んだら、事故車両が他のクルマの交通の妨げにならないようにクルマを動かせる場合は、邪魔にならない場所に動かしましょう。

クルマの損傷が激しく動かすことができない場合は、すぐにハザードランプを点灯させ三角表示板や発煙筒を車両の後方へ設置し後続車両へ事故が発生したことを知らせましょう。

事故が発生したら当事者同士と他者の安全に配慮した行動をいち早くとることが重要です。

●警察への連絡は必ず行う

軽微な交通事故の際に、警察を呼ばずに当事者同士で話し合い解決してしまうケースは少なくありません。しかしながら、事故の大きい小さいにかかわらず警察への連絡は必須となります。

警察への通報、その後の事故処理というのは、第三者の目で、どのような事故が起き、どういった状況だったのかを証明してくれるものになります。

この証明は、事故後に任意保険を利用し損害賠償や事故による負傷の治療を行う際に必要となる場合があります。事故の発生が明らかな状態にならないと保険金詐欺などを疑われ任意保険を利用できなくなることもあるので事故処理をし、交通事故証明を発行してもらいましょう。

事故後に任意保険の契約会社に連絡を入れた際にも、警察への届け出の有無は必ず確認される項目です。

●救急、警察、保険会社の順で連絡する

救急車の要請、警察への連絡が済んだら、自身が加入している保険会社に事故が発生したことを忘れずに連絡しましょう。

担当代理店が自動車ディーラーなどで営業時間中であれば、直接代理店へ連絡を入れてもかまいません。正当な理由なく保険会社に事故通知を怠ると、保険金の支払額に影響することがあるので注意が必要です。

最近では日本に住む外国人の方が増えていることから「多国語事故対応サービス」の提供をはじめる保険会社もあります。

事故を起こした相手が外国の方で日本語が通じない場合、外国の方と保険会社と通訳会社の三者が電話回線を同時に接続し、三者間通話を使用することで事故対応を滞りなく進めることができます。

またドライブレコーダーやスマートフォンアプリで事故連絡を行えるシステムを導入している保険会社もあります。このシステムを利用した事故連絡は、ロードサービスの要請をする際に、GPS機能を使い事故発生現場を正確に特定することにより迅速に対応することができます。

事故を起こし気が動転しているところで現在地を説明することは、とても難しいことです。契約している保険会社がGPS機能を使ったシステムやサービスに対応しているか確認して、可能であれば有効活用し保険会社への連絡をスムーズに行いましょう。

●事故通報システム「ヘルプネット」とは?

大きな事故を起こしてしまい、ドライバー自身が意識不明になり、緊急通報や救助要請ができないというケースもあるでしょう。

このような緊急事態のために日本緊急通報サービスが提供する事故通報システム「ヘルプネット」が最近、注目されています。

事故や急病などの際に、車に設置された専用のルーフボタンやナビのボタンを押すことで「お客様情報」と「緊急事態発生場所」を同時にヘルプネットオペレーションセンターに発信することができます。またエアバックと連動した機能もあり事故の衝撃でエアバックが開いた時点で自動的に発信されます。

以前は価格帯の高いクルマにしか備わっていなかった仕組みですが、最近では多くのクルマに専用の通信装置が取り付けられており、ヘルプネットを利用できるクルマが増えてきています。

ヘルプネット
以前は一部の高級ブランドだけで展開されていたヘルプネットも、現在では多くのクルマに装着されています。こちらの使い方も、しっかり認識しておきましょう。

旅先で現在地の詳細がわからず、場所の説明ができなくてもGPSを使った位置情報が発信されているため、最も近くの警察や消防等の関連機関に連絡をし、緊急車両の手配をしてくれます。

ヘルプネットは多くの車に搭載され標準装備も進んでいます。万が一の緊急事態に備えてヘルプネットのサービスを利用できるクルマに乗るということも、事故予防や万が一の事故対策になるでしょう。

●まとめ

事故発生から関係各所への連絡までをまとめました。救急、警察、保険会社への連絡を怠ることが無ければ、事故対応はスムーズに進みます。その際に相手方に何を聞くべきかアドバイスを行い、事故対応を代行してくれる保険会社も多いです。

慣れないことはプロの力を借りて、自分がやるべきことをしっかりと行い、最小限の被害にとどめることが、交通事故対応において最も重要なことになります。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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