エンジンのかかりが悪いのは、クルマの不調を知らせるサイン!?【誰でもできるカーメンテ】

●クルマが事前に不調を知らせてくれている、重大なサイン

「いつもよりエンジンのかかりが悪いな」と感じることはありませんか。エンジンのかかりにくさにはさまざまな要因が絡み合って発生している可能性があり、クルマが事前に不調を知らせてくれている、重大なサインかもしれません。

今回はエンジンがかかりにくくなる原因や予防策をご紹介していきます。

・「エンジンがかかりにくい」とは?

エンジンを始動させる際にエンジンスタートボタンを押し(エンジンキーを回し)スターターを回すと、「キキキキ、ブルーン」とエンジンがかかります。

この時に「キキキキ」の部分に注目してみましょう。エンジンを始動させる際に「キキキキ」や「キュルキュル」と鳴る音をクランキングと言います。このクランキングの回数が10回以上続く状態や、クランキングのスピードが遅い状態、エンジンを始動させるまで5秒以上かかるような状態になっていると、エンジンがかかりにくくなっている状態だと判断してもいいでしょう。

エンジンスタート
エンジンはクルマの第一声です。今日の調子はどうなのか、耳を傾けてみましょう。

エンジンがかかりにくいとはクランキングの回数が多く、スピードが遅く、時間が長くかかってしまう状態のことです。エンジンがかかりにくい状態は不調の予兆であり、最悪の場合にはエンジンがかからない、途中で止まってしまうなどの、故障やトラブルにつながっていきます。クランキングの回数や時間に注目して、平常時と異常時の違いを見分けられるようにしましょう。

スタートボタン
最近ではキーを捻るよりも、ボタンを押してエンジンをかけることが多くなりました。プッシュスタートでも、不調時には違和感を抱くはずです。

・かかりにくくなったら疑うべき場所は?

簡単に対処できる原因としては、ガス欠やバッテリーの劣化などが考えられます。ガソリンがガス欠寸前のごく少量しか入っていない場合やバッテリー容量が少なくなっていると、エンジンはかかりにくくなります。

エンジン内部のベルト系の不調が、かかりにくさにつながっている場合もあります。まずは、エンジンの動力を使って充電を行うためのオルタネーターをつなぐファンベルトの不調です。弛みや破損があると正常な充電が行われずに、エンジン始動に対して問題が発生することがあります。

ファンベルトの不調は、普段のアイドリング時に確認することができます。「キュルキュル」や「カタカタ」と異音が鳴っている場合には、適正な張りがなかったり、亀裂が入っていて動きが悪いなどの症状が出ているので、点検交換をおすすめします。

ベルトが緩み、オルタネーターが発電機の役割を果たせずバッテリーの電力が不足すると、セルモーターを正常時のように勢いよく回すことができなくなります。セルモーターはエンジンを始動する際に使われるモーターです。電力が不足しているとクランキング不良となり、エンジンが始動する際クランキングスピードが遅くなり、時間がかかってしまいます。

ガソリンもバッテリーも大丈夫、しっかりとクランキングも行われるという場合には、スパークプラグの不調が原因かもしれません。「プラグがかぶる」という現象で、プラグの発火部分が濡れてしまい、正常に火花を発生させることができなくなっている可能性があります。プラグの不調は、普段のアイドリングが安定しなかったり、エンジン回転数が上手く上昇しないなどの症状で、感じ取ることができるでしょう。

スパークプラグ
正常に発火しなくなったスパークプラグは、エンジンのかかりにくさに直結する不具合です。走行距離や期間で定期的に交換しましょう。

・トラブル防止のための予防策

まずは、定期的なバッテリーのチェックです。バッテリーの状態をチェックすることで、付随するオルタネーターの動作なども確認することができます。バッテリーチェックは、簡易的に自分でも行うことができますし、ガソリンスタンドや自動車ディーラーなどでは、テスターを使ってしっかりとバッテリーの状態を診断してくれます。これで、オルタネーター系のトラブルや、セルモーターの不調によるトラブルも未然に確認することができるでしょう。

また、エンジン内の潤滑油である、エンジンオイルの交換はしっかりと行いましょう。走行距離や前回交換からの期間などを把握しておき、綺麗なオイルに交換します。エンジンオイルは長期間交換しないと、汚れたり粘度が低下するなど劣化症状の他にも、エンジンオイル自体が減ってきて、エンジン内にほとんど入っていないということも起きかねません。

エンジンオイルの液量や汚れの度合いは、日常的に簡単に確認ができます。不良な状態で走行を続けていくと、エンジンがかかりにくい以外にも、エンジン内の潤滑不良や冷却不良により焼き付きが発生し、エンジン自体が再起不能となってしまう可能性もあるので、定期的なメンテナンスとチェックが必要です

ファンベルトの緩みや破損で起こるトラブルは、多いのでベルトが緩んでいないかをチェックしてもらいましょう。ファンベルトに亀裂が入っていたり寿命がきている場合は、張りの調整だけでは解決できない可能性があるので、交換も視野に入れていきます。

エンジンルーム
エンジンルームの中には、各種ベルトやチェーンが組み込まれています。ベルトのチェックは、日常点検の中でも重要な項目です。

まとめ

クルマは、不調になる際に、必ずと言っていいほど事前にサインを出してきます。突然明くる日に壊れていたということは少なく、このサインを見逃さないようにすれば、防げるトラブルが数多くあります。

エンジンがかかりにくいということも不調のサインの可能性があるので、クルマの訴えを聞き逃さずに早めに対処しましょう。日常的にクルマと対話をしながら、おかしいなと感じたら、すぐ専門の業者に見てもらいます。人間の体調不良と同様に、早め早めの対処が大切です。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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