クルマ1台に何本のペットボトルを使う? 新型アウディA3がペットボトル由来のシート地を採用

■新型アウディA3は、シートだけでなくカーペットなど多様なパーツにリサイクル原料を活用

リサイクルに出されたペットボトルからフリースなどの衣料が再生されているのは、よく知られています。以前お伝えしたように、新型アウディA3を発表したアウディAG。同モデルのシート地に、初めてリサイクル原料を使用するとアナウンスしました。

アウディ A3
新型アウディA3のフロントビュー

ドイツでは、ゴミの分別が細かく行われています。同国では、使用済みのペットボトルを回収用のマシンに入れると、デポジットとして支払った0.25ユーロを返金してもらえます。

その後、店舗ではスペースを節約するために、使用済みボトルは輸送用に圧縮されます。リサイクル工場に到着すると、色やサイズ、品質で分類されます。キャップなどの異物は、分離されます。次に、粉砕機でフレーク状にして、洗浄、乾燥、溶解。その後、ノズルから棒状のプラスチックが生成されます。それらが乾燥したら、機械はそれらを小さな断片に切り刻みます。このような工程を経て、ペットボトルはリサイクル原料となります。これを押し出すことにより、糸が生成されます。この糸はコイルに巻かれ、製品を製造する現場で使用されます。

クルマ1台でどれくらいのペットボトルが使われるのでしょうか? シートごとに1.5L容量のペットボトルが最大45本使用されるそうです。さらに、新型A3では、カーペット用にもリサイクルされたペットボトル62本を使用。

アウディ A3
アウディA3のラゲッジにもリサイクル由来の原料が使われている

インテリア以外のコンポーネントも断熱材や吸収材、ラゲッジのサイドパネル、積載フロア、マットなどにもリサイクル原料が使用されています。なお、アウディは、生産する車両のリサイクル素材の割合を、今後数年間で大幅に増加させるという明確な目標を掲げています。このプロセスでは、アウディブランドにふさわしい高品質な製品が提供されるとしています。

アウディ A3
新型アウディA3のシート地に使われるペットボトル由来の素材

現時点では、シート地はまだ完全にリサイクル可能な材料で作られているわけではありません。

アウディのテキスタイル部門で素材開発を担当するウテ グレンハイム氏は「接着剤で上部素材に接着する織物素材の下部層が課題となっています。現在、これをリサイクル可能なポリエステルに置き換える作業を行っています。シート地を完全に非混合材料で製作して、再びリサイクルできるようにすることが目標です。近い将来には実現すると思います」とコメント。

長期的には、すべてのモデルシリーズのシート地をリサイクル原料で製作する予定としています。

アウディ A3
新型アウディA3のシート。ペットボトル由来のシート地に、人工皮革製のサイド部が組み合わされる

アウディA3には、3種類のシート地が採用されていますが、最大で89%がリサイクル原料から製造されるそうです。

その1つは、デザインセレクション用の「トーション」と呼ばれるスチールグレイの素材で、イエローのコントラストステッチが視覚的なハイライトになっています。さらに、「プラス」と呼ばれる素材もリサイクル原料を利用。

Sラインでは、ブラックとシルバーのカラーコンビネーションが特徴になっていて、ロックグレーのコントラストステッチがアクセントになっています。後日、このコントラストステッチには、ブラックとレッドも追加される予定だそう。対象となる装備グレードでは、これらの素材が標準仕様として採用され、人工皮革製のサイドボルスターと組み合わせられます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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