東名高速で21日に発生した火災。橋梁工事中にいったい何が起きたのか

■東名・高架橋下火災。原因特定で、車線規制解除まで時間必要

東名高速高架下の橋梁補修工事現場で21日に起きた火災の影響で、上下線とも速度と追越車線規制が続いている。延焼による通行止めは発生から同日11時15分ごろの発生から約19時間で解除されたが、火災原因の特定が難航している。道路を管理する中日本高速は「規制が解除されるのは週明け以降になりそうだ」と話す。

東名高速の火災
東名高速高架下の橋梁補修工事現場で21日に起きた火災。(写真提供=中日本高速)

●追越車線通行止め、50km/h規制

火災による交通規制は、静岡市駿河区から葵区までの清水IC~日本平久能山スマートIC間(上り153.7~154.4キロポスト、下り153.3~153.9キロポスト)だ。損傷などから火の勢いは中央分離帯付近で特に激しかったと考えられている。そのため上下線共に追越車線が通行できない状態で1車線走行だ。さらに、同区間は最高速度50km/hに抑えられている。

工事現場は道路の下側を包み込むように仮設足場が組まれている。火災が起きると、道路床面を下からあぶるような形になる。ただ約2時間で鎮火したことなどから道路損傷は軽い、というのが中日本高速の見方だ。支柱ではない部材の一部に若干のひずみがあることや、配水管の損傷があることが確認されているが、規制が解除されている車線では走行上の問題はない。実況見分は22日朝から始まった。ただ、完全復旧が遅れる可能性もある。
「警察や消防の現地調査が優先するが、その現場でも危険な状況で立ち入りが難しい状況。当社も現場には入れていない」(中日本高速)

規制による大きな渋滞は23日午前の段階では確認されていない。比較的交通量の少ない区間であることが幸いしている。ただ、同社は可能な限り新東名などへの迂回を呼びかけている。

●橋梁の塗装をはがす作業で火災たびたび

火災現場は静岡市駿河区中吉田の「中吉田高架橋」で起きた。橋梁の塗料をはがす作業中で1人が死亡、10人が救急搬送された。

火災現場
火災現場の中吉田高架橋。(写真提供=中日本高速)

現場には塗料缶などが置かれていたが、中日本高速は「引火性のある液体は現場になかった」と話す。工事を請け負ったショーボンド建設(本社=中央区)静岡支社は匿名で「実況見分が終わっていないのでお話することはできない」と回答した。

橋梁改修工事中に火災が発生した例は、過去にも起きている。首都高速では2014年に3号渋谷線、2015年に7号小松川線で同様の火災が起きた。これらの事故では死者が出ている。

渋谷線での事故は照明器具の電球部分にシンナーが付着したことにより出火し、足場シートに着火したことが原因だった。また2019年、JR東日本の中央線水道橋駅付近でも高架橋の改良工事の火花によるケーブル火災で停電し列車が止まっている。

(中島みなみ)