●スーパーハイトワゴンでなくても室内と荷室は十分に広く、しかも軽快な走りが魅力
新型カローラが2019年10月の販売ランキングで11年ぶりに首位を奪還するなど、軽自動車(主にホンダN-BOX)の独走を止めた形になっています。
それでも日本の新車市場で約4割を占めるのが軽自動車で、2019年10月の軽自動車販売ランキングでの売れ筋トップ3は、ホンダN-BOX、スズキ・スペーシア、ダイハツ・タントと見事にスーパーハイトワゴンになっています。
スーパーハイトワゴンの利点は、背の高さを活かした室内(室内高)の広さ、両側スライドドアによる乗降性の良さで、ファーストカーとして使える広さは、「これで十分」と思わせるものがあります。子育て中のファミリーや足腰に不安のあるお年寄りがいる家庭では間違いなく使いやすいはずです。
一方で、普段は1人か2人程度しか乗車しないで運転していると、登録車のミニバンのように自分と荷物以外、空気を乗せて走っているような無駄も感じることはないでしょうか。普段使いであれば、スーパーハイトワゴンよりも背が低いハイトワゴンでも十分な居住性、積載性を備えていて、一般的には、購入価格も燃費でもスーパーハイトワゴンよりも抑制できます。
2019年10月の軽自動車販売ランキングで4位につけるのが日産デイズ、5位がムーヴ、7位がワゴンRとなっていて、ホンダN-WGNはこうしたハイトワゴンと競合するモデル。
新型N-WGNは、大人4人が無理なく座れる広さに加えて、背が低くて軽いことから軽快な走りが可能です。NAエンジン搭載車でも一般道中心であれば動力性能にさほど不満はなく、高速道路では100km/hを超えると騒音が大きめになるものの、法定速度内で走っていれば許容できる範囲。
また、CVTの制御も従来よりも違和感が少なく、音ばかり高まって加速感がついてこないようなシーンが減っているのも朗報です。
何よりもいいのが、運転のしやすさ。チルトステアリングに加えて、軽自動車では珍しくテレスコピックも備わっていますから、ペダルでスライド位置を決めてからちょうどいいステアリングをちょうどいい距離に設定できます。このテレスコピックの稼動域自体はそれほど大きめではないものの、数㎝動いてくれるだけで、身長171cmの筆者なら最適な運転姿勢を取ることができました。さらに、シートリフターも備わっていて、小柄な方から背の高い人まで調整しやすくなっています。
軽快なフットワークに加えて、乗り心地では微細な振動を伝えてくる状況も速度域によってはありますが、足がドタバタと動くような不始末をみせるシーンは少ないのも印象的。
ほかにも、荷室を上下方向に仕切れる積載性の高さや開口部の低さで大きな荷物の出し入れもしやすいなどの利点もあります。渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロールを含めた最新の「ホンダ・センシング」が標準装備で、価格も130万円を切るエントリー価格になっていますので、買い得感の高さも魅力といえそうです。
(文/写真 塚田勝弘)