ホンダ・N-WGNに起きた電動パーキングブレーキのリコール。なにが問題だったのか? そもそもリコールとは?

N-WGNカスタムと標準車

■渋滞対応ACCのために装備したパーキングブレーキが作動しなくなるというトラブルでリコールを届出した

フルモデルチェンジした際の評価はピカイチだったホンダN-WGN。その走り、静粛性、先進安全装備などで軽自動車のレベルを引き上げるニューモデルになると言われたほどですが、その後発売が休止されていました。

その理由はEPB(電動パーキングブレーキ)にトラブルが発生したためです。原因不明のエラーによりEPBが作動しなくなるという症状が発生したため、原因解明まで生産を休止することになったのでした。そもそもEPBの採用はACC(追従クルーズコントール)の作動範囲を渋滞での停止時まで広げるためでした。渋滞対応ACCを全車に装備したことが問題を大きくしてしまった面もあります。

N-WGNカスタムと標準車
2019年8月にフルモデルチェンジしたホンダN-WGNカスタム(右)と標準車

生産が止まったのは8月30日、それから原因の究明と解決策が捜されてきました。そして2019年12月12日、リコール届出というカタチで解決策が明示されたのです。当初、原因が不明な段階ではリコールにはならないという話もあったようですが、最終的にリコールになったということは、このトラブルが保安基準に抵触する不具合であるということを示しています。

リコールというのは国土交通省では次にように定義しています。

設計・製造の過程に問題があったために安全・環境基準に適合しない(又は適合しなくなるおそれがある)自動車について、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前に届出を行い、対象車を回収し、無償で修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度。

つまり、不具合が設計・製造の過程以外に原因であればリコールにはなりませんし、安全・環境基準(保安基準)に無関係な部分であってもリコールにはなりません。もし保安基準で規定されていない領域において設計・製造を原因とした不具合が発生した場合にメーカーが対策する場合は「改善対策」となります。また「リコール」「改善対策」のいずれにも該当しない不具合の改修は「サービスキャンペーン」と呼ばれます。なんでもかんでもリコールというわけではないのです。

N-WGNのEPB
N-WGNはEPB(電動パーキングブレーキ)を標準装備

さて、N-WGNのEPBに関する不具合とは、どのような内容なのでしょうか。

リコール届出によれば、その原因は二か所あります。いずれもブレーキに関わる部品で、ひとつは「電動パーキングブレーキアクチュエータ」、もうひとつが「スプリングパッケージ」となっています。

「電動パーキングブレーキアクチュエータ」については、モーターの製造に不適切なことがあり、そのために正常な状態でもモーターが故障したと判断してしまい、その結果としてパーキングブレーキが作動しなくなるおそれがあるというものです。

「スプリングパッケージ」というのはドラムブレーキの中でブレーキシューを動かすのに使っているスプリングのことですが、その設計に不具合があったため、EPB作動時にモーター負荷が大きくなり、ここでもエラーが出ることでパーキングブレーキが作動しなくなるおそれがあるというものです。

いずれも対策品に交換、さらにVSAモジュレータ内にあるモーター回路断線検知プログラムを書き換えるというのがリコールの内容となっています。少なくとも、今回のリコールにおいて不具合の原因として交換を要する部品が二か所あって、それぞれの理由が別々に内容であるということは、原因解明に時間がかかったこともやむなしといえるでしょう。

リコール届出1
リコール届出1「制動装置(電動パーキングブレーキアクチュエータ)」※国土交通省ホームページより
リコール届出1
リコール届出2「制動装置(スプリングパッケージ)」※国土交通省ホームページより

それはともかく、リコール届出というのは不具合の解決策が見つかったということを意味しています。改善策がない段階でリコールを届出することはできません。フルモデルチェンジ直後の生産休止やリコールというのは商品イメージにはマイナスですが、これから作られるN-WGNには対策品が使われるでしょうから、ひとまず安心です。

(山本晋也)

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