2度目のピットインの決断で今季最上位となった64号車
ダンロップのニュースペックタイヤにより、前戦の富士500mileでは予選Q2に進出して調子を上げてきたと思われていた64号車 Modulo Epson NSX-GT。しかしここオートポリスの予選では予選13位と期待したようには走ることができなかったと中嶋悟総監督は語ります。
「富士500mileの結果を踏まえてマシンを1歩2歩先に進めていこうといろいろチャレンジをしてきたのですが、期待通りに事が進まず今回の結果(予選13位)になってしまいました」
「傾向的にはピックアップが起こりやすい、タイヤにダメージの多いサーキットといえるので、その影響は確実に受けています。ただ決勝レースはレースが進んでいけば路面もならされていくでしょうから、決して良くないポジションからのスタートですが状況次第では大きく変わっていけるかもしれません」
Q1を担当した牧野任祐選手は「中嶋総監督の言う通りチャレンジが結びつかなかった結果、富士のようなフィーリングを得ることができなかった」と語ります。
しかし、今季のこれまでの戦いを見るに、予選順位は下位に低迷しても粘り強い戦い方でトラブルを回避し、ポイントを獲得してきたという事実があります。
9月7日の予選では、荒れた路面との相性が合わずに良いフィーリングをつかめぬまま、13位からのスタートとなってしまったGT500の64号車 Modulo Epson NSX-GT。
しかしスタート直後の序盤に1号車 RAYBRIG NSX-GTがアクシデントでSCが導入されると、前を行くライバルとの差は一気に詰まり、大きな差が開くことなくレースは進んでいきます。20周目辺りから第一コーナー周辺で降り出した雨によりウェットとドライが混在する状況でもナレイン・カーティケヤン選手はうまく走り、22周目辺りではポジションを一つ上げていきます。
28周目にピットインをしますがこの時は晴れ間が見え始めたためでしょうか、タイヤを再びスリックタイヤに交換、牧野任祐選手に交代して14位のポジションでピットアウトをしていきます。
しかし30周目辺りからホームストレートを除くほとんどのコース上は大粒の雨となってしまい、Modulo Epson NSX-GTは35周目で再びピットイン。レインタイヤに履き替えます。
一見無駄な作業のように思えた2度目のピットインによるレインタイヤへの交換ですが、その直後にGT300マシンによるコースアウトのためにSCが導入され、前を走るライバルとの差が縮まると、結果的に2度目のピットインのタイムロスが帳消しになるという事になりました。
2度目のSCが解除された直後に再び3度目のSCが導入され、2回のピットインによるタイムロスは全く無くなってしまったという状況となると、そこからはレインタイヤ優勢の路面状況が続き、スリックタイヤを履いたライバルを次々と抜いていき、7位でチェッカーを受けることとなりました。
中嶋悟総監督はレースを振り返り「天気予報やドライバーからのフィードバックでレインタイヤに履き替えたのが結果的に良かったし、とにかく今回は2人のドライバーがこの厳しい状況でよく頑張ってくれた結果だと思います」と語ります。
Modulo Epson NSX-GTを7位に押し上げた牧野任祐選手は、「レインタイヤに履き替えてからすぐは調子が良かったのですが、そこからのタイヤの(グリップ)落ちに苦労しました。周りのブリヂストン勢もかなりタイヤが落ちてきたようなので結果的には今できるベストを尽くして十分に戦えましたが、目の前を走る6号車(WAKO’S 4CR LC500)を抜ければもっと良かったと思います」と語ります。
ナレイン・カーティケヤン選手は「最初のスティントでスリックタイヤを履いた状態での雨はかなり厳しい状況でしたが、うまくマシンを渡して7位になれたことは良かったと思います。次戦のSUGOでもまた頑張っていきたい」と語ります。
厳しい状況でこそ結果を残してきたModulo Epson NSX-GT。次はいかに戦っていくのでしょうか。
次戦は9月21、22日、宮城県のスポーツランドSUGOでの第7戦となります。魔物が棲むと言われるほどアクシデントの多いサーキットですが、過酷なレースにこそ強いModulo Epson NSX-GTの活躍に期待しましょう。
(写真:吉見幸夫、松永和浩/文:松永和浩)
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