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今回の「頑固一徹 和」、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんによる動画で楽しむ試乗記は、ビッグマイナーチェンジにより自動運転レベル2「プロパイロット2.0」を搭載した日産「新型スカイライン」のハイブリッドモデルです。
ちなみに…ですがその昔、清水和夫さんはグループAやN1耐久レースに「スカイラインGT-R(BNR32)」で参戦していたことがあるため、私にとっては「清水和夫=スカイライン」というイメージが強いのです。
今では日本を代表する国際モータージャーナリストであり、また自動運転に関しての有識者として、民・官一体となり「オールジャパン」での取り組みを提言している清水和夫さん。そんな自動運転のプロ(?)でもある清水さんが「プロパイロット2.0」を体験してみてツブやいたこととは…? 興味津々!(clicccar・永光)
■GC10ハコスカ・スカイラインとの出会いが、オレの人生を決めた
●頑固一徹・清水和夫の原点はずばり、スカイライン!
今乗っているのは、ビッグマイナーチェンジを受けた新型「日産スカイライン」です。
スカイラインといえば、自分が免許を取って初めて乗ったクルマが、1972年式のGC10ハコスカ。そう、だから自分の今の人生は、スカイラインと出会ったことによって変わったと思いますね。あの時スカイラインと出会わなかったら、全く違う人生を歩んでいたんじゃないかと思います。スカイラインに乗って大学に行くと、クルマ好きの連中にカージャックされて「レースやラリーを観に行こうよ!」と言われてこの世界に足を踏み入れたんです。
■日産オンリーワン! バイワイヤー技術の集結「ダイレクト アダプティブ ステアリング」はHICAS開発が原点だった!
技術的なトピックスは「ワンモーター ハイブリッド」だけではなく、「プロパイロット2.0」という、いわゆるハンズ オフの技術です。
が、それよりも私が一番注目したいのは、「バイワイヤー ステアリング システム(※日産では『ダイレクト アダプティブ ステアリング』と呼びます)」。世界広しといえどもオンリーワンの技術をスカイラインは持っています。
このバイワイヤー技術、最近はブレーキやアクセルはバイワイヤー化が進んでいますが、ステアリングだけはまだバイワイヤー化が進んでいません。ステアリングシャフトとフロントタイヤの、いわゆるステアリング システムが金属で繋がっているんですが、棒で…。あ、棒って言っちゃいけないですね! メカニカルに繋がっています。
バイワイヤーはモーターによってハンドルを切ります。しかも、左右にモーターがあるので片側だけ切ろうと思ったら右側だけ少し多めに切るとか、いろんなことができるんです。
7thスカイラインの時からだったか、リヤのHICAS(ハイキャス)という4WSの走りを日産は世界に先駆けて実用化した実績があります。以来、ず~っとHICASは進化していくのですが、その途中でリヤ操舵システムのHICASが、今回フロントのバイワイヤー システムになりました。
実は実験的には4輪操舵のバイ ワイヤー化というのも日産は研究していた時があったんです。なので操舵技術として日産はひとつの大きな経験がある自動車メーカーです。そのバイワイヤー ステアが進化して、今回の新型スカイラインに搭載されました。
例えば、コンピューターで『ゴーカートみたいに動かせ!』って言うと、ステアリングのギヤ比をモーターで自由自在に変えられますので、世界一クイックなステアリングも可能になります。
こういう技術はクルマの乗り味をメカニカルに作り上げるのではなくて、電気モーターによっていろんな特性が得られるところにメリットがあります。ただ、機構に高度な技術が必要なので、コストや信頼性などでなかなか安価なクラスにまで普及できる技術は無いんですけどね。でも、スカイラインはそこに拘っているというところが大きいと思います。
■「プロパイロット2.0」はドライバーが安全確認を怠ると怒ってくれる!
●プロパイロット2.0ではなく「オレパイロット」がいい!?
ではさっそく、「プロパイロット2.0」が付いているので試してみましょう。
今、アダプティブ クルーズ コントロールをセットしました。右手の親指でマイナスを押してセット、その後スピードを合わせますが、基本的にはカメラで規制速度の看板を見ていますから、それを超えないように設定します。
今、もう右足はアクセルペダルから離しています。左足のみフットレストに乗せています。
メーターパネルがブルーになったので、ハンズ オフ! OKです。『合流車両に注意してください…』、ちょうど今、インターチェンジの合流車線があるのでそのアラームが出ました。
今、右足がフット オフ、手がハンズ オフの状態ですけど、目はしっかり前を見てアイズ オンして安全運転をしています。やがて目がアイズ オフできるようになって初めてレベル3、部分的な自動運転が始まります。
ハンズ オフで手は放していますが、安全運転はドライバー責任なので、ドライバーは前方監視、前をしっかりよく見て安全運転しなければいけないという状態になっています。
で、放れた手がどこにいくか?っていうと、スマホなんかイジっちゃ~だめですよ! 両肘をアームレストに乗せてリラックスするくらいはOKですね。
なんかね、あらためてこのハンズ オフで分かったのは、自分の手が重い! 質量的に手って重いじゃないですか。なのでハンドルに手をかけておいたほうが楽なんです。
ここの赤外線モニターを使ってドライバーを監視しています。例えばハンズ オフ、手を放して運転しているときにドライバーが安全運転をやめて余計なことをやろうとしたら、警報でアラームが出て怒られます!
随所にスカイラインらしい拘りを感じますね。
プロパイロット…ン~やっぱり「オレパイロット」だな。
【頑固一徹 総合評価】
★★★★
【頑固一徹 評価ポイント】(10段階評価)
パワートレイン:8点
シャシー性能:7点
インターフェース:8点
(※今回は10段階に細かく評価しています!)
(試乗:清水 和夫/アシスト:永光 やすの/取材協力:日産自動車)
【SPECIFICATIONS】
車名:日産スカイライン GT タイプSP (ハイブリッド)<プロパイロット2.0>
ボディサイズ:全長4810mm×全幅1820mm×全高1440mm
ホイールベース:2850mm
トレッド前後:フロント1535mm リヤ1560mm
車両重量:1840kg
エンジン:V型6気筒DOHC
エンジン排気量:3498cc
ボア×ストローク:95.5×81.4mm
エンジン 最高出力:225kW(306ps)/6800rpm
エンジン 最大トルク:350Nm(35.7kgm)/5000rpm
モーター 最高出力:50kW(68ps)
モーター 最大トルク:290Nm(29.6kgm)
圧縮比:10.6
駆動方式:後輪駆動(2WD)
最小回転半径:5.6m
乗車定員:5名
サスペンション:F ダブルウイッシュボーン/R マルチリンク
ブレーキ:F&R ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:F&R 245/40RF19
燃料消費率 WLTCモード:14.4km/L
車両本体価格(税込):6,048,000円
【清水 和夫 プロフィール】
1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業
1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。
【頑固一徹試乗とは?】
国際モータージャーナリスト、清水和夫が斬る試乗インプレッション『頑固一徹テスト』。頑固一徹・清水和夫が独自の目線でチョイスした新型モデルを、パワートレイン、シャシー性能、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の3分野で評価、採点し、その合計点によって10段階で評定します。
■頑固一徹 総合評価指数
3〜6点→★
7〜12 点→★★
13〜18点→★★★
19〜24点→★★★★
25〜30点→★★★★★
■頑固一徹テスト 試乗インプレッション
評価軸(3項目)&評価ポイント
パワートレイン 10段階評価(1〜10点)
シャシー性能 10段階評価(1〜10点)
ヒューマンマシンインターフェイス 10段階評価(1〜10点)
【関連リンク】
StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net
国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。
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