ただ安くするだけではダメ! 自動車保険(任意保険)は契約内容・免責事項をよ~く把握して備えよう!【自動車保険のミニ知識】

自動車保険は、取り扱っている場所が多くあり、どこで加入すべきか悩みます。商品は同じでも、誰と契約したかによって補償内容に対するアドバイスや事故対応などに差が出てくるものです。今回は、元レクサスディーラー営業マンの筆者が、「ネット保険」「自動車ディーラー加入」「プロ代理店(勤務先団体なども含む)加入」の違いを比較し、最適な加入方法をご案内します。

■料金の安さはピカイチの「ネット保険」

最近ではテレビCMも定着し、インターネットからご自身で自動車保険を申し込む方も増えています。私がレクサスで仕事をしていたときも、オーナーさんの10人に3人はネット保険に加入していました。その最大の魅力は保険料の「安さ」です。加入手続きを加入者自身が行うことで、保険料を割安にしています。保険料を抑えられるのは魅力的ですが、問題点もあります。

加入者が自動車保険をしっかり理解しておらず、必要な補償が備わっていないケースが散見されます。特に免責事項と呼ばれる保険会社が責任を逃れる(補償しない)部分の理解度が低く、事故の際に求めていた補償が受けられないというオーナーを多く見てきました。

・免責に注意

例えば「自損事故は補償しません」や「10万円の修理費までは補償しません」といったものです。こういった免責事項を付けている感覚なく、契約されている方が多いのです。免責事項を多くすることで、さらに保険料を安くできるのですが、保険が保険の体をなしていないこともしばしばです。保険料を安くし過ぎたためにいざという時使えないのでは保険に入る意味がなくなってしまいます。ネット自動車保険を選ぶ際には、一度細かな知識を勉強してから契約するようにしましょう。

■万が一のときに頼りになる「自動車ディーラー保険」

ディーラー
自動車ディーラーでももちろん自動車保険は取り扱われる

クルマを購入する際に、営業マンから加入を勧められるのが、自動車ディーラー扱いの自動車保険です。ネット保険や団体保険と比べると割引が少なく、保険料が高くなりがちなのがネックとなりあまりメリットを感じることは少ないかもしれませんが、万が一のときに大変頼りになるのがディーラー保険です。

・ワンストップの便利さ

例えば、保険代理店=自動車ディーラーとなるので、事故の際はディーラーの担当者に電話すれば、保険に関する手続きもワンストップで完了します。ネット保険やプロ代理店からの加入であれば、修理工場と保険代理店は別の会社で、事故の際には双方に連絡を取らなくてはならないのですが、自動車ディーラーで加入することにより、保険屋さんと修理屋さんが一箇所に集約されます。また、プロ代理店は土日に休みのところが多く、クルマの利用の多い土日に連絡がつかないといったことが多くあります。事故を起こして助けてほしいときに連絡が取れないというのは、結構なストレスです。

また、保険更新や変更手続きの際にも、担当者と対面での手続きが多く、わからないこともより多く聞くことができます。クルマのことはあまり良くわからない、保険もよく知らないから頼れる所が良い、土日にクルマを使うことが多いという方は、ディーラーの自動車保険のメリットを多く受けられるでしょう。

・専用保険を利用しよう

さらに、最近ではメーカー独自の専用自動車保険も多くあります。レクサス、トヨタ、BMW、メルセデスベンツなどが主なものですが、車両の通信サービスを使って、車載専用ボタンのワンプッシュで事故通報ができるシステムです。事故でエアバッグが展開した場合には、自動通報されるシステムも備えており、GPSを使った現場特定もスムーズで対応が早いです。自動車メーカー独自のサービスで利便性が高いので、積極的な利用をおすすめします。

■安くもできる? 連携も取れる? プロ代理店

勤務先の団体保険や、親類、知人からの紹介などで加入するのが、プロ代理店の自動車保険です。団体保険の場合、団体割引の適用により保険料が安くなるメリットがありますし、親類、知人であれば気軽に相談もできます。ネット保険と自動車ディーラー保険両方良いとこ取りのような気もしますが、プロ代理店ならではのデメリットもあります。

自動車保険を両親の世代から引き継いだ、両親の口利きで加入した場合、加入者自身が担当者のことを何も知らず、信頼関係もないまま加入しているケースです。この場合、直接の連絡もままならず、補償内容なども不明なまま加入していることが実に多いです。代理店に言われたままに契約してしまうことが多く、見直しなどもできない状態で余分な保険料を払い続けていたというオーナーさんも多く見てきました。

勤務先団体保険への加入の場合も同様に、契約内容の理解度が低いです。さらにクルマを買った、買い替えたということがすぐに勤務先に分かってしまいます。クルマは大きな買い物ですし、プライベートなことを勤務先に知られるのは抵抗がありますね。保険の見直しや乗り換えもしにくく、選択の自由度が限りなく小さくなってしまいます。

■まとめ

自動車保険は金融商品と同じような性格を持っており、信頼と信用が大切なものです。しっかりと内容に納得し、いつでも相談できる担当者がいることが商品力以上に重視すべき部分になります。窓口一元化のメリットも大きいので、ディーラーでの保険加入を一番におすすめします。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
続きを見る
閉じる