■介護が必要な人がもっと気軽にクルマで出かけられる社会へ
4代目の新型ダイハツ・タントは、低床設計とミラクルオープンドア(両側パワースライドドアも設定)によって良好な乗降性を備えています。小さな子どもやお年寄りがいるファミリーにとっては頼もしい存在です。
さらに、こうしたファミリーユーザーにオススメなのが、助手席ターンシートやミラクルオープンステップ、ラクスマグリップといった装備です。
助手席ターンシートは、約30度助手席が回転して乗降をサポートする機能です。「ウェルカムターンシート」全車、「スローパーX(ターンシート仕様)」、「スローパーL(ターンシート仕様)」に標準装備されます。
ステップ耐荷重100kgのミラクルオートステップは、助手席ドアとスライドドアの開閉に連動して自動的に展開・格納される装備で、少しだけ足を上げ下げすれば楽に乗り降りできるようになります。幅が広いので、どこからでも足を乗せやすいのもうれしいポイント。こちらは、「ウェルカムシートリフト」全車をのぞきディーラーオプションされます。
助手席用のラクスマグリップ(グレードにより標準もしくはメーカーオプション)は、Aピラーに設置されます。「DNGA」という新しいプラットフォームでは、設計段階からこのラクスマグリップの装着を想定しており、運転席側と助手席側のAピラー構造(厚み)を変えています。そのおかげで、とても握りやすい位置に装着することができたのです。
なお、ラクスマグリップは運転席シートバック用(ディーラーオプション)と助手席シートバック用(グレードにより標準もしくは、メーカーオプションかディーラーオプション)とも用意されています。
本格的な福祉車両でなくても、オプションで手軽に助手席ターンシートやミラクルオートステップ、ラクスマグリップなどを追加できるのは、新型タントの大きな美点です。これらのおかげで、お年寄りや子どもとのドライブがより容易になるのは間違いありません。
ダイハツの担当者によると、「お年寄りがクルマでもっと気軽に出かけられるようになれば、健康寿命をもっと長くできます」とのこと。
●福祉車両も先代モデルから大幅な進化を実現
もちろん、助手席の昇降シート車、車いすの乗降、車いすの積み降ろしに向く仕様も福祉車両として用意されています。
昇降シート車「ウェルカムシートリフト」は、スライドドアは閉めたまま、助手席ドアだけを開けた状態で昇降が可能です。
車いす移動車の「スローパー」は、電動ウインチにより女性でも楽に操作できます。
こだわりは、バンパーのデザインです。分割線が入っているのですが、それを違和感なくバンパーに溶け込ませて、福祉車両っぽさを感じさせないスタイルを実現しています。これは、タントのエクステリアデザイナーに協力してもらったものだそうです。
また、電動式のクレーンで車いすの積み降ろしが簡単にできるパワークレーン(車いす収納クレーン)も用意。こちらは、天井付けのクレーンで場所を取らず、荷室を広く使えて、後方視界も確保する作りになっています(ウェルカムターンシート全車に標準で、ウェルカムシートリフト全車にメーカーオプション)。
これも、設計段階からクレーンの装着を前提として、天井部分の強度を確保しておいたから実現できた装備なのです。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)