無限からシビック タイプR用のパーツがリリース。中止となった「MUGEN RC20GT」プロジェクトからフィードバック【週刊クルマのミライ】

■前後専用インセットの20インチホイールはトータルで10kgの軽量化を実現

FF世界最速をコンパクトに生まれたホンダ・シビック タイプR。その走りは世界中のチューナーを刺激してきました。ワークスチューナーである無限(M-TEC)は、究極のタイプRを目指し、空力デバイスとシャシーパーツを開発。「MUGEN RC20GT」というチューニングパッケージとして発売することもアナウンスしていました(画像は、東京オートサロン2019での「MUGEN RC20GT Package PreProduction」)。

エンジンには手を入れることなく、サスペンションとエアロダイナミクスによってサーキットでのラップタイムを削り取ろうという無限のアプローチは、まさにレーシングテクノロジー直系。GT車両と同じ設備によってカーボンパーツなどを生産することを前提としていたのです。しかし、その手法では当初の想定を遥かに超える価格となってしまうことが判明、残念ながら「MUGEN RC20GT Package」の発売は中止となってしまいました。

しかし、「MUGEN RC20GT」プロジェクトによって得られた知見をフィードバックすることでチューニングパーツを開発、このチューニングパッケージと同等のアルミホイールなどが市販されることになりました。その開発は無駄ではなかったのです。

たとえば、無限が用意するシビック タイプR専用アルミホイール「MDCF」は純正サイズの245/40ZR20タイヤに最適化しつつ、純正ホイールよりもトータル10kg(4本分)も軽量化しています。その意匠からも「MUGEN RC20GT」の開発によって得た知見から生まれたことは明確です。リム幅は8.5J、インセットはフロント用45、リヤ用53という専用設計ぶりも無限のこだわりを感じさせるホイールです。税抜き価格は15万円/本、2019年10月以降の発売を予定しています。

「MUGEN RC20GT」では、ヘッドライト以外はオリジナルのフロントマスクとなっていましたが、市販されるカスタムパーツでは、カーボンフロントグリルガーニッシュ(税抜き8万9000円)やフロントバンパーガーニッシュ(カラード仕上げ・税抜き4万円)、カーボンドアミラーカバー(税抜き5万9000円)といったディテールアップのアイテムを設定することで個性をアピールしています。

さらにアピアランス全体のイメージを変えるアイテムとしては、フロントアンダースポイラー/サイドガーニッシュ/リアアンダースポイラーからなるスタイリングセット(カラード仕上げ・税抜き21万6000円)も用意しています。そのほかカーボンエアロボンネット、ウイングスポイラー、カーボンウイングスポイラー、スポーツエキゾーストシステムなども開発中。これらは2019年10月頃に追加情報が発表される予定です。

インテリアでは、ドライカーボンとパンチングレザーを組み合わせたスポーツステアリング(税抜き8万1000円)やクイックシフター(税抜き3万3000円)といった機能部品を中心に設定。「もっとタイプRに」という商品開発コンセプトを具現化しています。

東京オートサロンなどで大いに注目され、多くのファンの期待を集めた「MUGEN RC20GT」の開発がストップしてしまったことは残念ですが、その知見を活かしてより現実的な価格のアイテムが用意されることは、無限&タイプRファンにとっては結果的にうれしい話となるのではないでしょうか。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる