スーパーGTやスーパー耐久で走っている「GT3」は、ルマンに出られない!? GT3とLM-GTEって何が違う?

●似て非なる2つのカテゴリ、GT3とLM-GTE。その違いは?

1年で1番、昼の時間が長い6月。国内では10年ぶりの24時間レースとなる富士24時間レースが昨年復活し、今シーズンも6月1日から2日にかけて開催されました。

そしていよいよこの週末はフランスのル・マンで、WECスーパーシーズンの最終戦となるル・マン24時間レースが開催されています。さらに今年はその翌周にも、世界一の草レースとも言われるニュルブルクリンク24時間レースが開催され、モータースポーツファンにとっては眠れない週末が続きます。

富士やニュルにエントリーしている、いわゆるGT3車両と、ル・マンにエントリーしているLM-GTE車両。どちらもモータースポーツファンならずともご存知のスーパーカー揃いですが、日本人としてはGT-RやRC-F、NSXがル・マンを走っているところを観たいと思ったことのあるファンの方も少なくないはず。

一体このGT3とLM-GTEの違いって、何なのでしょう?

GT3は2000年台後半にFIA GT選手権で存在したGT1、GT2の下位カテゴリとして設立されたクラスで、オーガナイザーであったSROによって運用されています。設立当初はアマチュアドライバー(現在で言うジェントルマンドライバー)を主なターゲットとして開発、販売されていました。

対してLM-GTEは2011年、その2年前に終了したFIA GT選手権でGT2とされていたカテゴリを耐久レース用規定に発展させ、ル・マン24時間レースのオーガナイザーであるACOによって運用されています。

この両者の大きな違いは、GT3がSROによってBoP(Balance of Performance)いわゆる性能調整をする事で車両性能の均一化を図るため、車両規格に厳密なレギュレーションが定められていないのに対し、LM-GTEは車両寸法などが厳密に定められているところにあります。

簡単に言うと、GT3は各メーカーが自由度を持って車両を開発できますが、LM-GTEはACOの定めた規格に合わせて車両を作り込まないとならないという事です。

両者の外観上の1番の相違点としては、LM-GTE車両にある、後ろに大きく張り出したディフューザーが挙げられます。

LM-GTE車両のポルシェ911RSRは、このディフューザー装着のために、ポルシェのアイデンティティの一つであるRR(リヤエンジン・リヤドライブ)からエンジンを前方に移設。ミッドシップにすることで、LM-GTEの規格に合わせています。