トヨタの「HV関連特許無償開放」は、VWのEV戦略への対抗策だった?

■トヨタのハイブリッドに関する特許は2万件を超える!

2万件以上に上るHV(ハイブリッド車)関連特許の無償開放を発表したトヨタ自動車。同社は長きに渡るHV開発で得たノウハウを特許として蓄積しており、製品化の際の技術サポートについても提供する考えのようです。

一方では独・VWが先頃、EV(電気自動車)専用プラットフォーム「MEB」(Modular Electric Toolkit)の他社への販売を表明。大規模な販売目標を掲げており、MEBのコストダウンにより、EV化を加速させる構えをみせています。

ただ、EV普及には充電用のインフラ整備や航続距離に起因する実用性など、現時点では解決すべき課題が多いのも事実。

そこでトヨタとしてはVWのEV化戦略への対抗策として、HV技術の開放により仲間作りを積極化。並行して今後のEV商戦に向け、EVに転用が利くHV主要パーツのコストダウンを急ぐ手段に出たものと思われます。

今回のHV関連特許開放は一見、慎重派のトヨタらしからぬ大胆な動きに見えますが、VWの動きを勘案すると、トヨタのHV関連特許開放は将来のEV普及を見据えた前哨戦といえそうです。

Avanti Yasunori・画像:TOYOTA ・VW)

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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