日本ブランドがロシアで活躍! TOYO TIRESがなぜD1GPロシアに参戦するのか?

「2018 ASIA PACIFIC D1 PRIMRING GRAND PRIX」2日目の9月16日日曜日、世界初となる「団体戦」によっての日露決戦です。

団体戦は、大きく分けると3つの戦い方で競われます。

まずは「単走団体戦」。柔道や剣道の団体戦のように、1対1でTansoを競い、点数を高く出したほうが勝ち。日本、ロシア、各チームからの8名選抜選手により、8戦が行われます。

今回の単走では、各選手ともオーバースピードで突っ込みクラッシュするなど、波乱万丈な結果が続出。日本勢も、苦戦します。

そして、勝利チームは3戦目の「追走団体戦」で、対戦相手のカードを見てから出場選手を決めることができ、3戦目を有利に戦うことができます。

2戦目は「シンクロ団体戦」です。各チームから3名を選抜しグループとし、その3台が連なって走ります。通常のドリフトポイントにプラスして、シンクロ度のポイントを加えてジャッジします。往年の団体ドリフト競技「イカ天」を思わせるような走りになるのではないでしょうか?

3台グループが2回ずつ走り、3グループ(2チーム型グループ)走って勝敗が決まります。この2戦目で勝利すると、3戦目「追走団体戦」の「先行」「後追い」を選択する権利を得ます。

そしていよいよ3戦目の「追走団体戦」は、1対1の追走をあらかじめ決めた出走順の戦いで行います。どちらかのチームが8勝した時点でそのチームの優勝が決定します。

新たな団体戦競技の登場で、様々な国や団体で開催されるドリフト競技が、そのグループ同士のぶつかり合いになれば、さらに全体が盛り上がること間違いないでしょう。

アニメ、カラオケ、日本食のように、ドリフトも日本文化のひとつとして世界中に広がっていくことを嬉しく感じます。

追走団体戦では、日本はいきなり3勝を取られるという苦戦を強いられます。その後もリードすることなく、クルマの不調やタイヤ不足などで、最終的にはロシアチームの勝利となりました。

トーヨータイヤは、日本の有力チームとして昨年チャンピオンの川畑真人選手をはじめとするTeam TOYO Driftとして参戦していますが、ロシアの有力チームにもタイヤを供給して、見事勝利を納めているわけです。

そのように、ロシアでトーヨータイヤ・ロシア プランニングディレクターの長谷川幸雄(はせがわゆきお)さんと、マーケティングスペシャリストのAnastasia Borodulina(アナスタシア・ボロドゥリナ)さんにお話を聞くことができました。

*  *  *  *  *

−−−ロシアではトーヨータイヤのイメージはどのように思われているとお考えでしょうか?
「ロシア国内での認知度向上を目標に各種プロモーションを継続実施してきたこともあり、
ブランド認知度は毎年向上致しました。高品質ブランドとして、幅広い購入層に受け入れられております。
先日も北極圏の都市であるムルマンスクのディーラー店舗を訪問した際に、高齢の消費者様が
「TOYOを買いに来た」と指名買いに来られた場面にたまたま遭遇したのは大変嬉しかったです。」

−−−ロシア国内で、トーヨータイヤのランクは、他の国産タイヤや欧州、アジアンタイヤの中でどのあたりに位置していますか?
「他日系メーカーを意識しております。常に危機感を持って商売に尽力しております。」

−−−ロシアの人々がタイヤに求めている性能や特徴で(他国や日本に比べ)特に大きなものは何でしょう?
「絶対的な耐久性が求められます。また、ロシアと言いましても国土が広く、路面環境が地域間でも異なる為、求められる性能も異なる傾向にあります。
ブランド認知度を向上させる活動だけではなく、商品性能でも安心・信頼をロシアの消費者にお届けできるよう商品性能の向上に注力しております。」

−−−ドリフト競技はロシアで人気のイベントでしょうか?
「確実に人気のイベントと言えます。RDS自体は毎年観戦者数を増やしております。
日本のD1の知名度が高いこともあり、Team TOYOの選手の活躍はロシアにおいても注目の的になっております。」

−−−トーヨータイヤがロシアのドリフト競技に参戦する理由、狙いなどを教えてください。
「自動車を所有し、且つ、ドレスアップ・チューニングをする所有者は貴重な存在と認識しております。
一人でも多くのお客様がタイヤ交換時にTOYOを指名してもらえるよう、特にクルマ好きが集まるRDSは貴重な場所として捉えています。」

−−−今後、ロシアマーケットでどのような層への販売増をお考えでしょうか?
「弊社はあらゆるニーズにお応えできる商品ラインをロシア国内で展開しております。
全てのお客様にご愛顧頂きたいと考えております。」

−−−日本のかたへアピールしたいことなどございましたらお願いいたします。
「お陰様でロシア国内で自社製品を装着している車両・お客様を目にする機会が増えてきました(写真は市内にて見かけた、PROXES T1Rのタイヤ痕です)。
数多くの競合が戦う厳しい市場ではありますが、日本のメーカーとしての誇りを持って、ロシア市場での更なる飛躍に努めます。」

−−−ありがとうございました。

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前日のD1GP2018ロシア大会では、ゴーチャ選手がロシア代表選手として初めてD1GPロシア大会を優勝で飾りました。

ゴーチャ選手もトーヨータイヤを使用しているのです。

日本だけでなく、海外勢の優勝候補にもタイヤを供給し、盤石な構えで「どちらが勝っても」という状況で挑んだトーヨータイヤの戦略にはしたたかさを感じます。参戦するからには必ず結果を出す。したたかな戦略は、日本企業がいま海外でもっとも重視すべきことのひとつではないでしょうか。

(clicccar編集長 小林 和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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