80〜90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、あらたにカローラ スポーツが登場したのを機に、番外編として歴代カローラのデザインを振り返ります。
1983年、5代目カローラは遅れていたFF化をセダンで採用、クーペではFR方式を残しました。後者がハチロクの愛称でクルマ好きに注目される中、セダンには隠れた先進性がしっかり詰め込まれていたのです。
一体成形バンパーを組み込む緩いクサビ形のボディは、シンプルかつスポーティ。ここに載せる大きなキャビンも同様のクサビ形とすることで、ボディ全体に強い前進感を与えました。サイド面は、太いサイドモールをバンパーの高さまで下げることで、重心を低く見せることに成功。
ハイデッキのリアは、上下幅のあるコンビランプをブラックのパネルと一体化することで、フロントからの勢いをしっかり受け止めます。また、シンプルなフロントフェイスとリアの組み合わせは実に端正。
一方、上下で色分けをしたインパネは適度な先進感を持つもの。ブラウンの内装を含め、多くのユーザーに「他社よりもチョット豪華で先進的」と思わせるトヨタの抜群のセンスは、この頃から加速度的に進化したのです。
担当デザイナーには、部分ではなくマスやシルエットで前進感などを見せる意図が明快だったといいます。こういう時には、ほぼ間違いなく優れたデザインが生まれるもの。先代に続き、外国人デザイナーの関与が語られるのも、それほどにまとまりのいいデザインだったという証なのかもしれません。
●主要諸元 トヨタカローラ 4ドアSEサルーン(5MT)
型式 E-AE81
全長4135mm×全幅1635mm×全高1385mm
車両重量 870kg
ホイールベース 2430mm
エンジン 1452cc 4気筒OHC
出力 83ps/5600rpm 12.0kg-m/3600rpm
(すぎもと たかよし)
※本文は2017年8月23日に公開されたものを一部修正して掲載したものです。