80~90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、15代目のクラウンが登場したのを機に、番外編として歴代クラウンのデザインを振り返ります。
1960年代に入って貿易の自由化が本格化し、産業界は国際競争力を強く意識。ライバルの日産が自社開発の初代セドリックで最新のスタイルを誇示するなか、より国際色を強めて登場したのが2代目クラウンです。
ボンネットからトランクまでの面をそろえる「フラットデッキスタイル」により、より長く・低くなったボディは当時のアメリカ車の流行に準じたスタイル。「直線をいかした国際感覚」の造形テーマのとおり、初代に比べ大幅な近代化を実現しました。
同じくアメリカ車で流行した4灯ライトは、大きく縁取りされたグリルで囲われますが、これはシンプルな丸形ランプのリアでも同じ意匠。とくに「TOYOPET」のロゴを配したリアパネルは、アルミの化粧板とともに日本車離れした表情を作ります。
高速時代を迎え、空力を追求したショルダーラインは、ボディをバターナイフで削ったかのような特異な形状で、メッキモールや埋め込み式のドアハンドルとともにサイド面の表情を生み出します。
インテリアは、横型の速度計を水温計や燃料計で挟んだコンビメーターがインパネの基本形を早くも構築。一方、ドアの内張りはシート地を含めた3種類の素材で構成され、実にモダンな表現に。
初代から激変したかのような2代目ですが、キャビンの形状などに50年代の面影が残ります。その意味で、この2代目は黎明期から近代化が加速する時代への狭間にあったとも言えそうです。
●主要諸元 クラウン・デラックス(OD付3MT)
形式 RS41
全長4610mm×全幅1695mm×全高1460mm
車両重量 1265kg
ホイールベース 2690mm
エンジン 1897cc 直列4気筒
出力 90ps/5000rpm 14.5kg-m/3400rpm
(すぎもと たかよし)
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