【週刊クルマのミライ】現行型デイズの試乗から、日産と三菱が共同開発する軽自動車の未来を考える

日産デイズは2018年5月28日にマイナーチェンジをしています。今回、試乗したのはその最新バージョンで、進化のポイントは先進安全装備にあります。従来は赤外線を用いた低速域でしか効かないAEBS(衝突被害軽減ブレーキ)でしたが、最新のデイズは単眼カメラを使ったシステムへと変更されました。

これにより、歩行者を検知できるようになり、約10km/h~60km/hの車速域で歩行者に対しても作動するようになりました。また、車両に対する作動車速域は約10km/h~80km/hと拡大しています。

そして、注目すべきは、この新システムは「技術の日産」を象徴するテクノロジーといえる「プロパイロット」由来のものだということです。基本設計は三菱が担当したクルマに日産のAEBSを載せるというのはけっして簡単なことではありません。現行デイズ・シリーズは日産と三菱によるNMKV社が開発を担当、三菱の水島工場で生産されています。

燃費偽装でも判明したように実際の開発作業は三菱マターで、日産が関係しているのはマーケティングや商品企画の段階までというイメージでしたが、今回のマイナーチェンジの内容をみると、すでに日産のエンジニアリングがデイズに投入されていることが感じられます。

そして、日産の中の人によれば、次期モデルについては、もっともっと日産の技術を投入すべく開発しているといいます。すでにホンダN-BOXがACCやAEBS、LKASといった運転支援システムについて上級モデル同様の機能を与えていることを考えれば、次期デイズにおいては、日産の持つ自動運転技術「プロパイロット」や「プロパイロットパーキング」をフル搭載することで商品力とアップさせることは自然と予想できるところです。

もちろん、ライバルに対する課題となっているパワートレインについても日産と三菱の知見によりレベルアップさせることでしょう。コスト面を考えると電動化技術の採用は難しい面もあるでしょうが、それでも日産コアテクノロジーである「e-POWER」での経験を活かした技術によって燃費とパフォーマンスをバランスさせた走りに期待が高まります。

(写真と文・山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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