デザイナー氏によると、「新型フォレスターは後ろからデザインが進められた」というのです。というのも、新しいフォレスターはラゲッジの開口部が1300mmと広く、荷室幅もゴルフバッグが横に積めるほど拡大しています。
開口部を広げるということはテールゲートが大きくなってしまい、ともすれば商用車的なのっぺりとした印象になりがちです。しかし、デザインコンシャスであることもクロスオーバーSUVの商品性には欠かせません。
そこでテールゲートにボリュームを与えることで、SUVらしい力強さと実用性の高いラゲッジスペースを表現しています。そのために、サイドのキャラクターラインをテールゲート手前のキャビン側で収束させ、ラゲッジスペースのボリュームを感じさせるデザインとしているのです。この部分の処理は新型フォレスターのデザインにおいて最大の関門。そのため、早い段階でラゲッジスペースやテールゲートのモックアップを作り、スタイリングと使い勝手を両立するデザインを追求したということです。
クルマのデザインというと、前から描かれていくようなイメージもありますが、新型フォレスターは後ろから出来上がっていったスタイリングなのです。そう思って、あらためて後ろ姿を眺めていると、旧型とはまったく異なるクルマに仕上がっていることが理解できるのではないでしょうか。
その姿は、機能を表現しているわけです。ちなみに、フロントマスクでは「アダプティブドライビングビーム」の搭載を強調する大きな目玉がポイントなのだそうです。眼力が強まっているのは代わり映えのためではなく、こちらも機能表現だったのです。
(山本晋也)