この時代のOPTには清水和夫さんも登場していた! 大自然の中を走るロングツーリングの醍醐味とは?【OPTION 1985年10月号より】

とにかく健康的なところであり、下心多きスケベ野郎とは無縁の地である。ホーマーの街には、たったひとりだけコールガールがいるが、いまだに処女だから気を付けろ!と、誰かが言っていたのを思い出した。実際、そんなジョークが似合うほど、アラスカは健康的なのだ。

観光や買い物で時間が経つのも忘れているうちに、いよいよ、ホーマー→フェアバンクス→アンカレッジというロングドライブの日が近づいてきた。

ところが、綿密に立てられたプランも、ツアー第1回でもあり、アラスカというあまりに広大な土地の中で距離感が甘かったようだ。残された時間と今までのペースを考えると、フェアバンクスまであまりにも遠すぎたのである。不可能なプランではないが、わずかなリスクを感じたときは、撤退することが正しい。

主催者には、全員を無事にゴールさせるという重大な責任がある以上、この判断は正当なものである。実際、断念に至るにはかなり勇気も必要である。

結局、フェアバンクスのおよそ300km手前、マッキンレーの麓で、ボクらは引き返すこととなった。未練を感じた人もいたはずだが、またチャレンジすることだってできる。

とりあえず、あの植村直己さんが眠るマッキンレーを目の前にしたボクらは、ある満足感を覚えた。大自然に感動したからなのか、あるいは長いツーリングに疲れたからなのか分からない。

それにしても、果てしなく続くストレートは、かえってヒッチャキに全開にする気など失わせてしまうようだ。地球の頂点に最も近いところで、クルマと自然に触れた喜びであったのか。言葉では語れない満足感に浸りつつ、アンカレッジを後にしたのだった。

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当時、TOYOタイヤのバックアップで富士、筑波を中心にドライビングレッスンを行っていた「モータリングアクロス」が初めて企画した海外レッスン編が、このアラスカツアーでした。

広大な自然の中、ニヤニヤしながらポルシェのステアリングを握っている清水和夫さんの姿が目に浮かびます! 紅鮭は引き返せない運命だけど、ツアー一行は引き返すことを決断。賢明です。このツーリング報告は、最高速ンkm/hとか、区間タイム何秒とか、そんな暴走チック?じゃないのも、OPTとしては珍しい!?ページでした。

[OPTION 1985年10月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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