という背景もあってか、およそ40年ぶりに骨格から何から全部が新しくなった新型Gクラスは、一見すると極めて保守的な・・というより、どこが変わったの? 的なモデルチェンジにみえます。でも、実は前型からのキャリーオーバー部品は外観印象を合わせるために敢えて採用したドアノブやスペアタイヤカバーなど3〜4点です。今や工数的に不利だろう剥き出しのドアヒンジも別付けの屋根の雨樋も全部ご新規設計と、再現度の高さには大変なこだわりを感じます。車幅マーカーの役割も果たしてくれるフロントフェンダー上のウインカーは、万一の際の歩行者への加害性低減を考えて、一定の力が加われば台座のピンが折れて下に落ちる仕組みを採用しているほど。そういえばカチャッというドアの開閉音、ガシャコンというロックの作動音などは完コピともいえる状態です。
一方でよくよく眺めれば、ボディワークは先代に対して微妙な面取りがなされ、僅かながら柔らかな印象をもたらしてもいます。リアゲートを除き微妙に曲げが加えられているガラス類もその印象に一役かっているのではないでしょうか。ちなみに全長や全幅は先代と大差はありませんが、全幅に関しては120mm以上も増えています。それでも恐らく車検証記載値は1900mm前後といったところでしょう。先代がいかにナローボディだったかが伺えるところです。
シャシーは先代と同様のスチールラダーフレームを採用、アルミ材による大幅な軽量化も考えられたそうですが、堅牢さや耐久性の観点から敢えてスチールを用いたとのことです。そのぶん上屋にはアルミやハイテンスチールを多用するなどし、先代比では都合170kgも軽くなっているそう。刷新された4WDシステムはドライブトレインの取り回しにも工夫が施され、若干ながら最低地上高は先代より高く、アプローチ〜デパーチャの3アングルも改善されており・・と、骨格レベルでの走破性向上を目論んだ形跡がみてとれます。バネにエアではなくコイルを使ったのもやはり堅牢さや耐久性を鑑みてのこと、そのため乗降性は先代同様婦女子に優しくないよじ登り仕様ですが、悪路性能には妥協しないのがGたる所以というわけです。