新型Gクラスの先代から最も変わったところといえば、フロントサスがリジットアクスルからWウイッシュボーンの独立懸架になったことでしょうか。これは乗り心地、操縦安定性、操舵応答性などオンロードでの走りに大きく作用してきます。一方で堅牢さはさすがにリジットが有利ですが、そこを可能な限りカバーすべくサスペンションメンバーの取り付け部はかなり強固な補強が施されていました。ちなみにリアはリジットアクスルを継承、同様のサス形式を採るクルマとしては、レクサスLXやランクルプラド、キャデラックエスカレードなどが挙げられます。
そんなこんなもあって新型Gクラス、日常域での乗り味はもう激変しました。スローなギア比とセルフセンタリング性能の低さで、交差点ひとつ曲がるのに操舵を意図しなければならなかった先代に比べると、その操作量や応答の自然さは夢のようです。加えて車体の軽量化やアクセル・ブレーキといった操作系のレスポンス改善もあって、曲がってぇ〜と願うしかなかったワインディングの応答性も隔世の感があります。轍や継ぎ目段差などでの前脚の柔軟性も向上していますから、もちろん乗り心地は大きく改善。首都高のようなところを走ると、その差は如実に現れるはずです。
と、ここまでオンロード適性を高めておきながら、悪路性能の側は譲った形跡が殆ど感じられません。9速AT+副変速機のレシオカバレッジは強烈で、いわゆるヒルディセント的な電子デバイスがなくとも難所を歩むような速度で登り下りすることも可能。前脚の伸縮量は想像以上に確保されており、モーグル的なセクションでもグリップを失うことはありませんでした。ちなみに操舵アシストが巧くチューニングされているようで、ラック&ピニオン化によるキックバックの増加は岩場等を走ってもまったく気にならないレベルです。