【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第34回・欧州高性能車に挑んだスーパー・グラン・ツーリスモ。トヨタ・ソアラ(初代)

フェンダーに回り込む横長の前後ランプは、ボディ全体に端正な佇まいを与え、とくにブラックで縁取ったリアランプはエレガントさも獲得しています。さらに、太いガードモールはボディを引き締めつつ、ボディの低さも演出。

インテリアはシート形状こそ70年代の雰囲気を引きずるものの、エレクトリックメーターを採用し、整然と機能を集約したコクピットは新時代を表現。インパネは複数用意された基本色とブラックを組み合わせることで質感を向上させました。

このスタイルに対し、当時の日産・レパードと比較して「物足りない」「おとなし過ぎる」という意見が多かったといいます。しかし、デザインチームは、200m離れてもソアラとわかる存在感を与えるため、あえてシンプルな「素顔美人」を標榜。

「そこには牙をむき出しにしたラインは一本もない」というカタログコピーは、その目標を如実に表したもの。このとき、トヨタのデザインチームは、評論家やユーザーの意識をはるかに上回る仕事をしていたのかもしれません。

●主要諸元 トヨタ ソアラ 2800GT-EXTRA(4AT)
形式 E-MZ11
全長4655mm×全幅1695mm×全高1360mm
車両重量 1305kg
ホイールベース 2660mm
エンジン 2759cc 直列6気筒DOHC
出力 170ps/5600rpm 24.0kg-m/4400rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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