【日産・スカイライン公道試乗】世界で戦うスポーツセダンは、マイナーチェンジでさらに魅力あふれるデザインに変貌

<リアデザイン>

今回のマイナーチェンジで最も大きな変更点の一つがリアのテールランプです。V37スカイラインは、丸目4灯ではなく、L字のランプで表したデザインをしていました。その形状について、一部ではブルーバードシルフィの様だとも揶揄されておりましたが、今回は現行のフーガの様な造形、つまりインフィニティを意識した造形へと変更となり、より精粋なイメージへと変更となりました。

よく似ているといわれてきたフーガとスカイライン、インフィニティではQ50、Q70とそれぞれ名付けられている通り、デザインエッセンスを共通化させて、一つのブランドとして体現しています。ボディの全長や横幅といったサイズが異なるだけで、他のデザインは踏襲する戦略は、メルセデスベンツやBMW、アウディ、レクサスも取り入れている手法であり、世界で戦う上では、ブランド価値を高めることが出来る方法です。

ただ、これでスカイラインとフーガの異なるところを探すのが、ますます大変になりましたが。

さらに、リアバンパー上にあったイルミネーションランプが廃止され、シンプルでよりシャープな印象になりました。またリアバンパーのマフラー上側のデザインも変更、ラインが車両外側に広がり、リア周りの印象がぐっと締まりました。よりワイドに、そしてどっしりとしたリアのデザインは後ろを走る車にも、威圧感を与えることでしょう。

<インテリアデザイン>

今回変更になったのが、ステアリングホイールの造形です。マイナーチェンジ前後で3スポークステアリングホイールには変わりありませんが、中央部が台形の形状から、六角形へと変更となり、周囲をアルミメッキの枠組みで覆われた形状となりました。中央から下方向のアームが、本革からアルミメッキ仕様へと変更になり、より豪華な印象をえました。

ちなみにこのデザイン、他の日産車にも採用されているトレンドのデザインなのです。例えば昨年登場したプロパイロットを積んだ新型セレナにも、同様のデザインコンセプトに基づき、アルミメッキの華燭が施されたステアリングが装着されております。この点は、スカイラインというスポーツセダン、しかもインフィニティブランドとしてのデザインと考えると、ミニバンと同様のデザインとは若干、物足りなく感じるものがあります。

また、ステアリング上にあるスイッチのレイアウトも変更になりました。マイナーチェンジ前後での使用感はさほど変わりませんが、アルミ調メッキの華燭が入った分、マイナーチェンジ後の方が、より豪華に見えます。ステアリングのグリップ部分は、体感できるほどの形状変更はありませんが、もともと手になじむ形状および本革表皮のため、程よい握りの良さを実現できています。

さらにシフトノブも変更となり、こちらもアルミメッキ調の華燭と、中央にインフィニティのエンブレムが入りました。とても細かな変更ですが、毎度手に触れるシフトノブだけに、ポイントをおさえた豪華な印象を与えてくれます。

インストルメンタルパネルのデザインは基本的にはマイナーチェンジ前後での変化はありませんが、部分的に表皮の変更がなされており、ダブルステッチのラインが入りました。これまでの軟質プラスチックでできたものからの変更で、見た目のクオリティは飛躍的に上がっています。スカイラインのようなエントリ高級クラスのトレンドともなっている内装の表皮とステッチラインの組み合わせですので、ようやく追いついたというところでしょうか。

インパネで最も目立つのが、中央に鎮座した大型ダブルディスプレイの液晶画面です。上部のディスプレイは主にナビゲーションを担当し、下側のディスプレイは各種のコントロールスイッチとなっています。このモニターの視認性は高いのですが、昼間の運転の際に光が映り込んでしまい、見づらいシーンがありました。

また映り込み以外にも気になる点があり、従来(前型V36スカイライン)では、何となくの感覚で操作できた各種調整が、メーターを凝視しないとできないことも多く、多少不便に感じることがありました。スマホのアプリのように操作できる機能を表示させていますが、やりたい操作が表示されるまでの階層が3階層、4階層と深く、直感的に操るのには、それなりの時間と慣れが必要です。

筆者は、ALC(アダプティブ・レーン・コントロール)をオンにするため、このアプリ内部を探し回ってしまいました。あとで開発の方に聞きましたが、ステアリングホイールのスイッチの中に、ショートカットキーがあったそうです。

<まとめ>

以上、V37スカイラインのマイナーチェンジの視覚上の変更点を紹介しました。もともとスタイリッシュなボディデザインを持っていたスカイラインですが、マイチェン前と比べ、よりアグレッシブに、よりインフィニティデザインを代表するようなテイストをまといました。

スポーツセダンとして、よりカッコよくオシャレになったその外観には、釘付けになる人も多いのではないでしょうか。

(吉川賢一)

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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