【試乗】SUBARU AWDで雪国の「普通の道」を走る。インプレッサSPORT 2.0-S EyeSight編

例えば空調です。

普段エアコンの「オート」をオンにしちゃえばあとは温度設定をたまに動かすぐらいで快適になったいまのクルマですが、SUBARUの車両は空調も冬のことを考えて作られているそうです。

暖かさが劣っていることがまずないことが前提ですが、その温度分布が気になるところです。旧インプレッサではドア側の足元の暖まりが悪かったそうで、それを両足同時に暖まるよう足元向けダクトを大型化し均一な足元温度を手に入れているそうです。

私事ながら、以前は空調屋をやっていたこともあるのでその辺ウルサイと思うんですけど、風が直せる顔や体の一部に当たるのが非常に不快なんです。なので、なるべく風を感じないよう足元とウインドウから空調の風を出すようにしていますが、まさにこういう発想はありがたい。

そもそも空調負荷の高いところ(断熱のしにくいガラスなど)に吹くのは常識なんですよね。顔に直接風を当てるなんて、扇風機の名残を感じる前世代の空調です。常々インパネにダクトはいらないと思っています。もっとピラーとかドアとかから出してほしいと考えたりします。

今回は、試乗前に暖気してくれていたおかげでその暖まり方のインプレッションはわからなかったですが、温度や天候も変化するドライブ中はなにも不快を感じることなかったので、優れた空調システムと言えるでしょう。

そんな快適な車内から、最初に青森市内から酸ヶ湯温泉を目指します。以前ドライブの本を作っていたころから行きたかった秘湯、名湯です。

まずは、青森市内の象徴と言える、青函連絡船の保存線「八甲田丸」をバックにスタート地点の写真を撮りに行きます。カメラマンから、「その雪の上に置いて!」と無情なリクエストが……。そこには20cm以上の雪が積もっています。スタートでいきなりスタックしたら恥ずかしいなと思いながら恐る恐る雪に乗り上げます。インプレッサはなんの問題もなく雪上に乗っかりました。脱出もまったく問題なし。これからの道中へ、頼もしさが加わりました。

青森市内は除雪もされ、ほぼ普通のアスファルト路面です。表面だけが濡れている程度のウェットでした。もちろん、ここでも安心したドライブができます。

知らない街中を走る時、とくに朝の通勤時間帯でみんななんとなく急いでいるようなシーンでは、周囲の車両や人の動きを常に把握しておきたいもの。こういう時も、死角の少なさが計算されている恩恵を受けながら気を遣うことなくインプレッサを進めることができます。

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
続きを見る
閉じる