【新型スズキ・クロスビー試乗】6ATと高トルク直噴ターボが生み出す「自然さ」「気持ちよさ」のある走り

早速試乗してみました。今回の試乗路は空いた郊外です。

クロスビー、通常走行する分にはいい意味でクセがなく自然です。低速域からトルクが出ているからか、車重が軽量(全車1トン以下)だからか、またはその相乗効果で出足から素早く車体を前に出していきます。しかしそれはアクセル踏み込み量に対してナチュラルで、「ビュン」と出過ぎて運転しにくいようなことはありません。

制限速度上限が60km/hの一般道ではアクセルに軽く足を触れるだけで交通の流れに乗ることは可能ですが、今回はちょっと深めに踏んでみました。

1リッターターボエンジンは2000rpm付近からトルクが非常に厚くなっていき、意外なほどスポーティーなエンジン音を発生させつつ車速を増していきます。単純にスピードが上がるだけではなく、ドライバーに強い加速感を感じながら走らせていきますので、運転していてとても気持ちがいいです。これはCVTではなく6ATを採用したことも大きく寄与しているものと思います。ダイレクトなフィールが快感なのです。

なお、このトルク感にはISG(セル機能付きモーター)によるアシストも寄与しているはずですが、その効果は自然なため気づきません(メーターのパワー遷移モニターをチェックすれば視認可能ですが)。

このパワーユニット2種類と変速機マッチングの合わせ込みレベルが非常に高いので、クロスビーではターボの存在もISGがあることも忘れてしまいそうです。まるで1.8L級のNA車に乗っているような感覚なのです。

こういう「自然さ」「気持ちよさ」を生み出す作業がどのくらい大変なのかはわかりませんが、そういうクルマが少ないことから考えるとたぶん簡単/コスト安ではないのでしょう。

また、アクセルを深く踏み込まない限り、走行中はエンジン音が聞こえることはほとんどありません。これは常用回転域が低いことに加えて、Aピラー部分を始め遮音材を一般レベルより多く使っていることが要因でしょう。ロードノイズも含めた車内の静粛性はなかなかのレベルです。

クロスビーは見た目の印象でハスラーを連想させますが、室内やラゲッジの広さ、そして走りの余裕と質感などで全く違うキャラクターを持つクルマでした。

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
続きを見る
閉じる