新年恒例「クルマ好きにとってのお正月」と言っても過言ではないイベント東京オートサロン。最近ではクルマ好きに限らず、年明けのイベントとしてすっかり世間からの認知も広がり、例年、会場の幕張メッセはかなりの人出でにぎわいを見せる。今年も1月12日から14日までの三日間開催されるオートサロン。その設営の様子を見学に開会前日の会場を訪れた。その様子をご紹介したい。
どうしても自動車ライターをしていると、オートサロンをはじめ、混雑した幕張メッセばかりを想像してしまうが、イベントを開催していない幕張メッセの静かさは意外にすら思えるほどである。昼過ぎにに会場を訪れると、エントランス付近は、設営スタッフが時々行き来する程度、かなり人もまばらだ。しかしながら会場は鋭意設営中。会期中とはまた違った活気に包まれる。
実際には大丈夫なのだ。何度かこういう仕事に携わったこともあるので、それは実体験で経験しているが、しかし「明日の朝には来場者を迎えるんだよなあ」もしかするとその状況を見た人はそんな風に感じるかもしれない。前日の昼過ぎはまさにそんな状況なのだ。大きなブースは、全体の骨格やステージなどがようやく組みあがったところ、小さなブースでは、まだフロアのコンクリートがむき出しになっていて、これからまさに設営というような場所もかなり多く散見された。
会期中は来場者が行き来するであろう通路には、資材を梱包していたビニールや段ボールが広がり、展示する商品や配布物など所狭しと積まれる。またスタッフの人たちの掛け声も威勢が良い。お祭りを準備している!そんな雰囲気にあふれている。本当にクルマが好きで、クルマで盛り上がりたい。出展者はもちろんながら、設営に携わる人にもそんな人が少なくない。そんな印象を受けるのである。
かたや続々集まる出展車両たち。幕張メッセに向かう道路では、ローダーで展示車両を運ぶ光景、遠方のナンバーを付けたドレスアップした車両の列が湾岸線で幕張に向かう光景などを多数見かけた。そして順番に会場に運び込まれていった。
設営の傍ら、PAや照明の調性、各ブース毎の打ち合わせ、ステージのリハーサルなども併せて行われる。確かに設営が完了してからでは時間がない。また細かい装飾や陳列の位置決めで、もう少し前のほうがいいとか、そこからだと見えない!など喧々諤々交わす声も会場のあちこちで聞かれる。キレイに飾ればいい、華やかに盛り上がればいいというものではなく、いかに出展企業各社が自社の売りを魅力的に見せるか。そして理解してもらい覚えて帰ってもらうか。とても重要なことである。
そんな中、会場を歩いていたら「今からクルマおろすので見ませんか?」と声をかけられる。
ダイハツのブースでMOVE CANBUS PREMIUM.VERとHIJET TRUCK Jumbo ACTIVE.VERがまさにこれから運び込まれるところだった。断る理由はないので後についてゲートのところまで行くと、まさに今二台を下そうとしているところだった。一目ではわかりにくいが汎用パーツなども多用していることや、ダイハツのデザインでカスタムの提案をすることの意味、むずかしさなど、こだわりポイントなどをリフトが下りる間中説明してくださった。
こんな舞台裏に居合わせることも幸せだが、何より、そんな熱い思いを載せたクルマが集まる祭典、それがオートサロンなのだ。そして、メーカーのスタッフもそうなのだ。そんな熱い思い、クルマに対して尽きることのない思いを持つ人が集う場所、それがオートサロンなのだ。夜9時ようやく形になってきた。楽しみにしている来場者のための準備はまだまだ続いていた。
真の自動車のお祭り。オートサロンはそういうことのできる数少ないイベントではないだろうか。阿波踊りではないが「踊る阿呆にみる阿呆、同じ阿呆なな損損」の世界。クルマが好きは「見てほしい」「見てみたい」「一緒に楽しみたい」そんな思いが年に一度集まる場所なのである。一人のクルマ好きとしても、オートサロンに対して改めてそんなことを感じた設営日のオートサロン会場だった。
(中込健太郎)
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