決して真似をしてはいけないキャノンボール!? 後編【OPTION 1982年8月号より】

【各車それぞれのペースで疾走、果たしてリーディングランナーは!? 】

一方、信号がうるさい16号線を走りきった後、関越を前橋ICまでメーターを振り切って飛ばしたコロナは、4時には長野の手前にさしかかっていた。18号はトラックが多い。流れは約80km/h。みんなけっこうなペースで流している。片側1車線だから、見通しの効くところではずっと右側通行だ。120km/hオーバーでブッ飛ばすのだから、高速道路とさして変わらない。スピードを出さないとかえって眠気が襲ってくる。

RX-7は快調に飛ばす。走行ノイズが小さいというのもいい。寝静まった街中でも心置きなくアクセルが踏める。たとえ、200km/hオーバーの最高速を誇るシャンテであっても、大町の市街を150km/hで走ることはできないだろう。その排気音からして・・・。

北アルプスの内懐を縫うこのルートは、さすがに深夜ともなれば冷え込みがキツイ。その寒気がモト・ライダーの身体に突き刺さる。また、刀のライディングポジションは決して楽ではないのだ。クラッチは応急修理したものの、エンジンは依然不調。が、いずれにしてもこの手の道を夜間、4輪ペースで走ることはキツイ、というより無謀だ。

荒れた路面と部分改修でつぎはぎの道路である。ストレートでも油断できない。4輪ならば「ちょっとハズンじゃった」で済むところが、2輪はそうはいかないのだ。マージンを取って、常に最高速100km/h程度におさえて走るようにする。

もうすでに、山の端が白んできている。シャンテは小牧ICで高速を降り、ひたすら41号線を北上していた。ハイパワーなベビーギャングを駆る楽しさは、やっぱり一般道のほうがいい。「とにかくイけばおしまいだナ」との覚悟を要する高速走行は、精神的にキツイ。短時間なら話は別だろうが。しかし、41号線にはなぜか開いているスタンドが無い!? ついに、予備タンクの虎の子18Lを給油する。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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