価格は250万円〜。ロードスターが新車以上になるマツダのレストアメニューを徹底解説

■WEBにて申し込みし、書類審査などを経て対応可能かを確認

レストアサービスを受ける際の流れは以下の通りです。

1.WEBサイトで申し込み

マツダWEBサイト内の初代ロードスターのレストアサービスサイトにて、車台番号、年式・グレードとともに、希望のレストアメニューなどを記入して申し込みます。この段階で、適合車種であるかどうかも確認できます。

2.書類審査

WEBの申し込みフォームの内容をもとに書類審査を行います。車両の状態など、詳細について個別にヒアリングを行います。

3.車両確認

続いて、受付前に事前の車両確認を行います。確認場所は地域のディーラー等となっており、マツダレストアチームのメンバー立ち会いのもとで現車確認となります。この際、簡易的に各部を計測。数値が規定値に達しない場合、施されている鈑金リペアがある場合、その程度などにより、その時点でレストアサービスの対象外となることもあるようです。この確認作業により受け付けが可能となった車両は、広島または横浜での、車両受付へ進みます。

4.レストア受付

車両をマツダの広島本社または横浜のR&Dセンターへ搬入します。現状、受け渡し時に契約をおこなうため、本人が持ち込むことが前提となります。このとき車両の再計測が行われます。そこでもNGになる可能性もあるとのこと。なお、レストア費用のうち、3割ほどは作業前の前金として支払い、レストア後の納車時に残金を支払うことになります。

5.レストア作業

実際のレストア作業はマツダE&Tによって行われます。マツダE&Tは、東京モーターショーなどで展示されるようなショーモデルの製作も担当しているエンジニア集団です。またその過程は写真とともに一冊のブックレットとしてまとめられ、納車時にプレゼントされるとのことです。レストアは、受入検査、分解洗浄、塗装およびエンジンOH、組み立て、完成検査という順序で進み、1台の作業におよそ2ヶ月の期間を要するとのこと。

6.認定・納車

レストアが終了すると、テュフ・ラインランド・ジャパンのクラシックカーガレージ認定作業が入り、車両は納車手続きに進みます。納車についても広島ないし横浜で、ということになります。

■費用は税込み250万円スタートで、個別に有料の別メニューを選択可

費用は基本メニューの250万円からスタートとなり、個別のメニューを追加していく形式となります。

全車とも選択が必要
・基本メニュー(ボディ、エクステリア)…250万円(税込)

基本メニューにプラスして以下のなかから希望するものを選択
・インテリア…70万円(税込)
・エンジン・パワートレイン…80万円(税込)
・シャシー・サス…40万円(税込)
・エアコン…25万円(税込)
・ホイール・タイヤ…20万円(税込)

上記項目すべてを含むフルレストアが485万円(税込)となります。

●基本メニュー
・車両診断
・全塗装
・フタ物新品交換
・ランプ/ワイパー等交換
・復刻ソフトトップへ張替
・小ダメージの板金処理

すべてのレストアには基本メニューが含まれます。

この基本メニュー、外装はパーツ総取り替えで、フタ物とはボンネットフードや、フューエルリッドなどのこと。幌はもちろん、ボンネットやフューエルリッドなども新品交換となります。

再塗装される際、ガラスも外し新品に交換、エンジンも降ろしたホワイトボディと同様の状態にするため、エンジンルームも車内のフロアもすべて再塗装されることになります。ボディカラーは、シルバーストーンメタリック、クラシックレッド、クリスタルホワイト、マリナーブルー、ブリリアントブラック、ネオグリーン、サンバーストイエローが用意されています。

その後、新車時にはなかった工程として、クリアを吹き(エンジンルーム内、インテリアも)、磨きの作業を経て新車以上の仕上がりとなるとのこと。褪色することの多かった赤系カラーなども、クリアによって長く輝きを持続できるようになるそうです。

幌も新品に交換。新車時はドイツ製だった幌布はアメリカ製の同等品となり、新車時と同じイタリア製のリアスクリーンを使用して広島で縫製されます。シールドビームだったヘッドライトは、サンプル車両では小糸製のH4ハロゲンタイプに換装されていました。

 

●オプションメニューA・インテリア
・インパネ/トリム類
・シート表皮張替
・カーペット交換

 

インテリアのメニューでは、ダッシュボードやトリム類の腰上部分、シートやカーペットが新品に交換となるほか、ステアリングホイールはナルディ製の復刻版が取り付けられます。

 
 

●オプションメニューB・エンジン&パワートレイン
・エンジンOH
・吸排気部品交換
・冷却系部品交換
・トランスミッション交換
・ドライブシャフト交換
・デフ調整

エンジン・パワートレインでは、エンジンのオーバーホールとともに、マフラーなどの排気系パーツ、ラジエターなどの冷却系パーツが新品に交換されます。トランスミッションはシンクロ性能などが強化された、NBロードスターのものにアップグレードされます。エンジンハーネス類はカプラーのみの交換となるとのこと。

なお、エアクリーナーボックスは車両に装着しているものを清掃して使い、デフは調整のみと、部分的に新品交換にならないものもあります。

●オプションメニューC・シャシー&サスペンション
・サスペンション交換
・ブッシュ類交換
・ベアリング類交換
・ブレーキ部品交換

シャシー・サスのメニューでは、ブッシュはもとより、アーム類を含めたすべてを交換。ブレーキはキャリパーのみオーバーホールキットを使用。マスターバックなどは新品になります。

●オプションメニューD・エアコン
・エアコン関連部品(一部リビルト品使用)

エアコンについては、コンプレッサーなどを再利用するものの、ノンフロン仕様R134aタイプのレトロフィットにてオーバーホールされるとのこと。なおエアコンレス車へのエアコン装着の対応はありません。また、エアコンのメニューを選ばない場合でも、エンジンと補機類は塗装のために外されるため、エアコンで使用しているフロンは一度回収し、再利用することになるそうです。

●オプションメニューE・アルミホイール&タイヤ
・復刻アルミホイール
・復刻タイヤ(1台分)

タイヤ・ホイールは、いずれも復刻版への入れ替えとなります。発売当初の純正装着タイヤであるブリヂストン製SF325は、そのトレッドパターンはそのままに、現代の技術で当時の乗り味を再現した逸品とのこと。

この記事の著者

古川教夫 近影

古川教夫

1972年4月23日生。千葉県出身。茨城大学理学部地球科学科卒。幼稚園の大きな積み木でジープを作って乗っていた車好き。幌ジムニーで野外調査、九州の噴火の火山灰を房総で探して卒論を書き大学卒業。
ネカフェ店長兼サーバー管理業を経て、WEB担当として編プロ入社。車関連部署に移籍し、RX-7やレガシィ、ハイエース・キャピングカーなどの車種別専門誌を約20年担当。家族の介護をきっかけに起業。福祉車輌取扱士の資格を取得。現在は自動車メディアで編集・執筆のほか、WEBサイトのアンカー業務を生業とする。
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