そのルーツを中島飛行機に持つSUBARU(スバル)。航空機メーカーとしてのDNAが自動車の開発にも活かされているという話を目にすることは少なくありません。そして、スバルは現在も航空機生産に関わっています。有名なのはボーイング787の中央翼を作っているというエピソードではないでしょうか。
中央翼というのは左右の翼をつなぐ部分で機体の中にあるので外からは見えませんが、もっとも力を受ける部分であり燃料タンクも兼ねているため、強度と精度が高いレベルで要求されます。だからといって、職人技に頼って作っていてはムラのない生産にはつながりません。
そうした点において「自動車メーカーでもあるSUBARUの強みが活かされています」と言うのは、同社・航空宇宙カンパニーのヴァイスプレジデントを務める若井 洋さん。
先日、自動運転に関する設備などを新設した『スバル研究実験センター美深試験場』での取材で北海道を訪れたときに、移動中に興味深い話を伺うことができました。航空宇宙部門と自動車部門は基本的には別の組織ですが、お互いに協力しあう関係にあるといいます。
「ボーイング787の中央翼はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)で作っていますが、航空宇宙カンパニーからはCFRPの扱いなどのノウハウを自動車部門に提供しています。また、空力に関する知見も共有化することで、自動車の設計に役立っています」ということ。
逆に自動車部門から航空宇宙関部門へ何らかのプラスになるノウハウの提供はあるのかと質問したときの答えが、前述した「自動車メーカーでもあるSUBARUの強みが活かされています」というものだったのです。具体的には、自動車の生産技術による正確でスピーディな生産ロボット技術に関するノウハウが航空宇宙カンパニーに提供され、積極的にロボットを用いるなどして高いレベルで安定した生産が実現しているということです。
航空機と自動車、SUBARUという同じ会社の中に”たまたま”異なる部門があるというのではなく、お互いのノウハウを共有することによるポジティブなループが生まれているわけです。そして、こうした他にはない関係性は、SUBARUのモノづくりにおける独自性につながっているといえそうです。
(文:山本晋也 写真:SUBARU)
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