【新車】復活した「素の」シビック・ハッチバックを峠道試乗。ターボと6MTの組み合わせはどうだ?

最大トルク240Nmと6速MTを組み合わせたシビック・ハッチバック、ワインディングでは余裕のトルクでハンドリングを味わえることだろうと期待が高まります。

短くなく、長くもない、ちょうどいい按配のシフトストロークを確認、軽めのクラッチを踏み込んでからエンジンをスタート。そのまま長尾峠を走り出します。

その第一印象は「まっとうなFFに仕上がっている」というもの。リヤはマルチリンクですが、パッシブステアなど違和感のある制御はなく、しっかりとストロークして接地することを優先しているといった味付け。減速してステアリングを切リ込み、立ち上がりでアクセルを踏み込むといったオーソドックスな操作に対して、しっかりと結果を残してくれるシャシーに仕上がっています。長尾峠は右に左に切り返すコーナーが続きますが、そうしたシーンにおいても車体の反応遅れは感じません。

そして、メーター中央のインフォメーションディスプレイをブースト計モードにして確認しましたが、ターボエンジンはブーストが立ち上がる前から十分にトルクがあって乗りづらさはありません。とはいえ、過給の立ち上がりレスポンスには若干のラグを感じます。メーターの表示を見ている限り、アクセルを踏んでからワンテンポあってブーストが一気に盛り上がっていくといったキャラクター。

ステアリングを切った状態で2速でブーストが立ち上がると、イン側のタイヤが空転するほど。FFらしく減速と加速のメリハリをはっきりつけた運転がマッチしそうな印象を受けました。

こうしたフィーリングには、コーナリング時にブレーキを緻密に制御して回頭性などをサポートする「アジャイルハンドリングアシスト」が効いているのでしょう。その一方で電子制御の影響なのでしょうか、車両からのフィードバック情報にフィルターがかかっているような印象を受けるのは、シビックのDNAとして考えると、意外に思える部分。

操作に対する結果としては思い通りの挙動やパフォーマンスを示しているのですが、クルマとの対話という意味では若干の距離感を覚えるのです。

そうしたキャラクター作りについて、開発エンジニア氏にうかがった中で気になったのは「先代モデルを基準として見ると、スポーティになっています」という発言です。先代モデルというのは、日本では販売しなかった北米仕様のシビックのこと。たしかに北米でのニーズを前提にスポーティにしたということであれば、こうしたフィーリングは狙い通りなのかもしれません。

■ホンダ・シビック ハッチバック(6MT)主要スペック
車両型式:DBA-FK7
全長:4520mm
全幅:1800mm
全高:1435mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1320kg
乗車定員:5名
エンジン型式:L15C
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1496cc
最高出力:134kW(182PS)/5500rpm
最大トルク:240Nm(24.5kg-m)/1900-5000rpm
変速装置:6速MT
燃料消費率:17.4km/L (JC08モード)
タイヤサイズ:235/40R18
メーカー希望小売価格(税込):2,800,440円

(写真:門真 俊/文:山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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