【東京モーターショー2017】「球のタイヤ」登場! この突拍子もない発想はどこから来るのか?

—ここまで突拍子もない発想のタイヤを考え付く理由を教えて下さい。

デビッド 我々の開発チームのなかにはアドバスンドコンセプトチームという開発チームが存在しています。そのチームのなかでは自動車業界におけるトレンドや世界ではなにが起きているのかを考えている部門です。そのチームでは限られた箱のなかでの考えではなく、チャレンジングなクリエイションを行って言います。

ライオネル グッドイヤーの創立者であるチャールズ・グッドイヤーがチャレンジングな人であったから、この会社があるわけです。我々がチャレンジングであることは当たり前だし、チャレンジングであるからグッドイヤーが存在している。これこそがグッドイヤーのDNAなのです。研究開発は我々の素なのです。

—非常に自由な発想でタイヤを開発しているというと、GoogleやMicrosoftのようなIT企業の開発者たちのような自由さを想像するのですが。

デビッド 彼らは非常に自由に考える人たちです。我々もシリコンバレーにオフィスを持っています。そこではタイヤはいかにはほかのものとコミニケートするかなどを考えています。

ライオネル いわゆる革新的なIT系の人たちとも開発は行っています。伝統的なタイヤ開発者以外ととのつきあいも濃いですし、各国の大学とオープンリサーチを行っているチームもあります。強調したいのは、革新的なDNAはつねに限界を超えて新しい技術を作っていこう、使っていこうとしている。それが後々には商品化されていくのです。

—日本にも開発拠点はあるのですか?

ライオネル 日本ではネットワークを作って、開発を行っています。イノベーションセンターはルクセンブルクとオハイオにあり、その2カ所が中心です。

デビッド 我々は常に消費者を第一にしています。我々はグローバルスプリントで、世界中の拠点から必要なもののポートフォリオを吸い上げます。日本の消費者向けにはベクター4シーズンズやアイスナビ7を送り出しました。この2製品は日本の消費者のために作ったものです。

—ベクター4シーズンズは最初は輸入品だったと記憶していますが。

デビット ヨーロッパで最初作っていましたが、現在は国産化してよりニーズに合わせたものとなっています。

ライオネル 世界で持っている技術を最適化して、その地域にあったものに仕上げていきます。

—日本のユーザーニーズは厳しいと思います。

ライオネル はい、とても厳しいです。とくにOEM納品はびっくりするほど厳しいです。トヨタも厳しいですが、今回はコンセプトカーにも使っていたいただいています。

—その日本の厳しさが役立っていることはありますか?

デビッド 日本のユーザーの高い要求は役に立ちます。トヨタのノイズに対する要求はハイエンドのユーザーが音が静かでコンフォータブルで、世界中でこうした要求を求めています。また、10年前にトヨタが求めていた転がり抵抗値を、今は世界中のさまざまなメーカーが求めるようになってきました。

—日本に合わせてタイヤを作っていれば、いずれは世界が求めるものが出来ているというわけですね。グッドイヤーのなかで日本はどれくらいのボリュームなのでしょう?

ライオネル アジア・パシフィックではインドが大きく、次いで日本が大きな市場です。グローバルでは圧倒的にアメリカが大きな市場となります。市場としての大きさもありますが、その要求性能などは非常に大きな役割を担っていると言えます。

—どうもありがとうございました。

お話をうかがった両名と技術本部長の松崎洋明氏

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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