【恐怖のスピン!】
クリスマスツリー(DRAGのシグナル)を凝視しながら、ソロソロとマシンを前進させる。3000rpmほどでブリッピングさせながら、ライバルを待つ。黄色の点滅が始まった。エンジンが6000rpmで吠える。
スタートだ!雨天用のP7がややスピンする。そのまま1速で7000rpmまで引っ張り、2速へ。タコメーターの針が4000rpmへダウン。が、一瞬のターボラグ後、フル加速する。ライバル、シェルビー・コブラ350の姿は視野に入らない。3速、4速へのシフトアップも、クロスミッションのおかげで5000rpm以上でつながった。ゴールラインが分からない。4速6800rpmまで引っ張って、やっとゴールを通過していることに気がついたのだ。アクセルを慎重に戻す。
その瞬間、テールが大きく右に振られた! すかさずハンドルを修正しながらアクセルを吹かす。マシンの姿勢が戻った……と思ったのも束の間、再びアクセルを絞った時、スピン状態に陥った。スピードはまだ120km/h以上出ている。マシンは左側のダートへ1回転しながら突っ走る。
「あー、クラッシュか!?」
絶叫していたかどうかは定かでない。左側のコンクリート壁が魔物のように迫る。マシンが後ろ向きになった瞬間、ハンドルを直進状態に戻し、斜めにしながら、リヤから激突するようにコントロールするのが精一杯だった。「グシャッ!」と鈍いショックがくるまでの数秒が、長く感じられた。タイムは15秒45。
恐ろしい、雨中のゼロヨン・・・ある教訓を思い出した。MレーシングのMr.光田氏から「今日は雨だから、ゴール直後に気ィつけてな」と言われていたのである。うかつだった。その意味をよく理解していなかった。
腕の悪さもあるだろうが、直線だけのゼロヨンをナメていたのかもしれない。タイヤのエア圧をみると、右2.3kg/cm2、左1.6kg/cm2だった。軽量化による後部荷重の不足も原因のひとつだ。ウエット路は、ゼロヨンにとってもバニシングポイントになる可能性があるのだ。
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Daiさん、やっちゃいましたね。で、クラッシュはしてもクルマにさほどダメージが無かっただけに、止せばいいのに2本目、そしてDRAGスリックに履き換えて3本目のスタートまでしています。ま、タイムもアップしていないので、今回はこのクラッシュ1本の紹介で終わらせておきましょう。
周回するサーキット走行会は雨でも開催しますが、DRAGは降っていなくても弱ウェットでも厳禁でしょ(汗)。
さて次回はこの日、参加していた1982年DRAG実力派チューナーのマシンたちを紹介します。
[OPTION 1982年6月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)
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