ラウンド・オブ・14の天候は小雨もあがって曇り。気温はかなり下がった。風は弱くなり始めたが、未だパイロンは揺れている。
スタート時間を大幅に遅らせて競技は開始となる。チャレンジャークラスのように予選=決勝結果=何も出来ずピート・マクロードに逆転され3位転落!…という残酷で最悪のシナリオは回避された。
Heat1 ミカ・ブラジョー vs ピート・マクロード
ブラジョーは大きなミスなく1.06.752の全体最初のタイムを刻む。
気温が下がったことでプラクティス/予選時より、かなり遅くなっているようだ。マクロード選手は中盤からは0.1程秒リードをしていたが、ゴールゲートをまさかのパイロンヒット!
+3秒のペナルティーが加算され1.09.598。3秒ペナルティーを抱えて、ファステストルーザーで勝ち抜けるほど今のエアレースは甘くない。ピート・マクロードの2017年のタイトル挑戦が終わった。
Heat2 室屋義秀 vs マルティン・ソンカ
今シーズンの雌雄を決する一戦。室屋選手、序盤でインコレクトレベルを喫するも、1.06.134を刻む。
安定した飛行で速い印象のソンカ選手だったが、まさかのパイロンヒット!1.07.866。
予選13位相当の苦しいタイムのままファステストルーザーでの勝ち抜けに希望をつなぐ。室屋選手は最高5位でもチャンピオンの可能性が高くなった。
Heat3 ピーター・ポドルンシェク vs マティアス・ドルダラー
ポドルンシェク選手はパイロンヒット、インコレクトレベル2回と7秒のペナルティーを重ねて1.14.083で掛け抜け、ほろ苦い引退レースとなった。
ドルダラー選手は相手がペナルティーを受けた後に飛ぶのにかかわらず、予選より0.2秒しか落とさない1.06.181で勝ち抜ける。
Heat4 カービー・チャンブリス vs ファン・べラルデ
チャンブリス選手も3周目最初のゲート(ゲート15)でパイロンヒット!1.09.598に終わる。ベラルデ選手は卒なく纏めて1.05.360此処までの最速タイムを刻む。辛うじて繋がっていたタイトルへの可能性の糸が切れ、チャンブリス選手の2017年が終わった。
Heat5 マイケル・グーリアン vs ニコラ・イワノフ
グーリアン選手は大きく風に煽られながらもノーミスの飛行を見せ1.07.517 イワノフ選手は3周目スラローム手前のゲート(ゲート16)でパイロンヒット!その後インコレクトレベル2回を重ねてしまい、+7秒ペナルティで1.13.242。グーリアン選手が地元で勝ち抜ける。
Hear6 フランソワ・ル・ボット vs ペトル・コプシュテイン
ルボット選手もゲート16でパイロンヒットを喫して+3秒の1.10.870。コプシュテイン選手は、ミスなく1.07.144で勝ち抜ける。
ここまですべてのHeat(対戦)でパイロンヒットが発生しており、ファステストルーザーはソンカ選手のままである。
Heat7 クリスチャン・ボルトン vs マット・ホール
ボルトン選手はノーペナルティでの飛行をみせ1.08.585。ここでファステストルーザーがソンカ選手に決まった(仮にボルトン選手が敗退してもソンカ選手より遅いため)。ポイントリーダー、死に体から息を吹き返す。ホール選手は予選1位の強さを示し、1.05.285のラウンド最速タイムを叩き出した。ラウンド・オブ・8でソンカ選手との対決となる。
練習日・予選日を通してパイロンヒットがほとんど無かったインディアナポリス大会。世界最高のアクロバット技量を持つスーパーパイロットが集うエアレースで、これだけのパイロンヒットが起こる=決勝レースは荒れ始めた。
スタートゲートの先、スラロームの手前のゲート(ゲート2,,16)でのパイロンヒットが圧倒的に多い。ここを「オーバーGを起こさず回り、スラロームに向けてスピードを残す」ことがタイム短縮に繋がるために攻める選手が多い。それが鬼門の原因となっている。
室屋選手はこのラウンド3位、対戦相手は同位のブラジョー選手となった。ノーミスであれば、1.04秒前半のタイムを記録している室屋選手。ブラジョー選手を寄せ付けず勝ち上がるだろう。
しかし、5位以内でのタイトル獲得という安牌なプランは消えた。直接対決を制したが、優勝してもチャンピオンは獲れないかもしれない。完全に2人に絞られたタイトル争い、世界一を獲る為の厳しく・痺れる展開は続く。
(川崎BASE)