世界一へ向けて室屋選手がライバルを倒すも、まさかの敗者復活!【レッドブルエアレース2017・決勝レポートその1】

レッドブルエアレース2017最終戦・インディアナポリス。決勝日の朝は嵐から始まった。

前日までこの地域にしては異例の25〜27℃あった最高気温が嵐によって下がり、例年並の10℃台前半に下がっていった(実際、朝より時間を追うごとに寒くなった)。

決勝を前にメディアを対象としたハンガーウォークが開催される。イベント期間中、メディアが公式に直接選手・チームに話を聞ける機会として設定されており、TV局も基本ここでコメントを集める。 今回は、TVはNHKに加え、J-SPORT・TBSも現地取材に。TBSは撮影隊だけでなく、宇内梨沙アナも現地入り。

宇内アナは魅力的キャラクターであるだけでなく、昨年・今年と千葉戦の際は現地取材経験済みの「エアレース通」。また、取材時の勝率が100%であるため、チームファルケンにとって「勝利の女神」となっている。チームには知らされていなかったサプライズ取材(応援!?)に室屋選手の表情も柔かくなる。

一方ズバッと聞きにくい質問を室屋選手に投げて、はちまきの「侍魂」ならぬ「ジャーナリスト魂」を見せていた。一方、NHKの辻よしなり氏が開口一番「僕の時と表情が違う」と室屋選手は苦笑い。

TBSでは今回の取材を宇内アナのレポートで「ニュース23」で放送予定とのこと。J-SPORTSでも今月下旬に放送される予定。

Clicccarも注目の選手に質問を実施した。

室屋義秀選手からは、

「予選の際は、6気筒のうち1気筒で吸気漏れが生じていて、速度を下がる要因であったので、対策を行いました。また、雨が止んだ事に加え、決勝に向かい気温が下がり始めた。気温が下がる事で(密度が上がり、空気抵抗の小さな機体が)有利になる。自機の特性が生きるのでより気温は下がって欲しい。」

「タイトルに迫ったこの状態は今迄の積み重ねの結果なので、今さら力み過ぎないでベストで臨みます。」ソンカ選手については「速い選手ですが、ファイナル4で当たればきっと勝てます。今日は一日中ファイナルみたいなものですし、いい展開じゃないですか。」

と、気負いを感じさせずに語った。

予選最上位、マット・ホール選手は、

「今年の第二戦より機体を乗り換え、新しい機体は時間が掛かるというのは判っていました。計画通りに開発を進めていましたが、前戦・今回と予選トップタイムを取った事で、機体が速く育っているのを証明できましたし、プラン通りに進んでいる事が確認出来て満足しています。今日飛ぶのも楽しみですし、2018年はワールドチャンピオンを狙いに行きます。」

と、自身に満ち溢れた表情で語った。

ポイントリーダーのマルティン・ソンカ選手

「昨日から原因を特定しきれない不具合が有り、少し困っています。また、昨日までとは気温や風が全く違うので今日は別なレースになると思っています。室屋選手とは幾度も戦っていますが、対戦に秘策はありません。開幕戦で初優勝の際「明日起きると夢になっていないか心配だよ」といいましたが、今はそういう事は思っていません。今回はビックチャンスですが、シーズンを通して沢山ポイントを取りこぼしたとも感じていて、やり直せたらなぁと思っています」

直に接するソンカ選手は大変紳士的で穏やかな印象ですが、意外やクヨクヨするメンタルは普通の人でした。

この時間の最初にピーター・ポドルンシェク選手の引退セレモニーが行われました。

各チームのパイロットと関係者が自主的に集まったお祝いで、ポドルンシェク選手から各パイロットにお礼(贈り物)が渡されていた。ポドルンシェク選手は4年間エアレースに参加し(チャレンジャークラス2年を含む)、次のチャレンジの時期が来たと云う事だそう。飛ぶ事はやめないそうだが、日本でまたフライトを見る機会があるかを尋ねると「ヨシが呼んでくれたらいつでも飛びに来るよ」とコメント。

セレモニーの最後に集合写真を撮影。引退はさびしい事だが、ハンガーに優しい空気が流れていた。

天候の回復が遅れ、チャレンジャークラスの決勝はキャンセルとなった。チャレンジャーは予選結果でリザルトが確定、各選手には50%のポイントが与えられた。メラニーアストル選手がエアレース史に初の女性ウイナーと、インディアナポリスのスーパスピードウェイの歴史を名を刻むこととなった。