三菱ふそうトラック・バス(MFTBC)は、ニューヨーク市で電気小型トラック「eCanter」の量産開始を世界市場へ向けて発表しました。
これにより、MFTBCは電気トラック(EVトラック)を量産する世界初の商用車メーカーとなります。
「eCanter」は日本国内向けには、川崎工場で生産を開始し、欧米向けには7月からポルトガルで生産を開始しています。MFTBCでは「eCanter」のメリットについて、都市内配送中の騒音を低減し、大都市の環境を改善しながら、輸送コストを低減することができるとしています。
今回北米で発表した車両は、車両総重量7.5トンクラス、1時間(直流急速充電)もしくは9時間(交流230V)の充電で、100km以上の航続距離を備えています。
モーター(最大出力129kW、最大トルク420Nm)と、360V・13.8kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載しており、従来のディーゼル車と比較して、走行1万kmあたり、最大1,000ユーロ(約13万円)のコスト削減が可能ということです。
高電圧リチウムイオンバッテリーパックの製造はメルセデス・ベンツ・エナジー社(本社:ドイツ)が担当し、充電設備はChargePoint社(本社:アメリカ)が供給します。また、MFTBCの親会社であるダイムラーのトラック部門は、高速充電技術を開発するStoreDot社(本社:イスラエル)への投資を決定しています。
世界初の量産EVトラック「eCanter」は、本年度中に米国、欧州、日本でユーザーへの納入が開始されます。日本では川崎工場で初回生産される国内向け「eCanter」50台の内25台はコンビニ大手のセブン‐イレブン・ジャパンへ納入する予定で、ポルトガル工場の初回生産100台の一部は、米国でUPS社(ユナイテッド・パーセル・サービス社)への納車が決定しています。MFTBCでは今後2年間で更に500台の「eCanter」の販売を計画しており、2019年からは一般のユーザー向けに量産を開始するということです。
MFTBCは、「eCanter」の前身である「キャンターE-CELL」を2010年にIAA 2010に初出展し、2013年から日本・ポルトガル・ドイツで実用共試を実施して、2016年に「eCanter」のプロトタイプをIAA 2016で世界初公開して、量産へ向けて開発作業を続けて、今回の量産開始に到達したことになります。
今後、街角で活躍する「eCanter」を見かける機会が増えそうです。
(山内 博・画像:MFTBC)