キープコンセプトではない! 新型NーBOXのデザインは「いい道具」から「上質な乗用車」へ

──  次にインテリアです。新型はドライバーと助手席側でかなり表情を変えましたね

「実際には、左右に広がる太い柱の上にパネルが載っている格好で、構造はシンプルなんです。通常、コンソールを中心に左右対称にするのが一般的ですが、その比率を変えることで広さ感を出しています」

──  内装色はインパネやドア内張りの白いパッドに2トーンのシートなど、コントラストを付けた配色が新しいですね

「従来は内装を明か暗で分けていましたが、新型はそれをミックスしました。白いパッドでは目線に価値観を感じるパーツを配して質感を上げ、2色のシートは明るさと同時に、汚れが目立たないという機能性も両立させました」

──  ボディカラーでは、どのように「上質」を加えたのでしょう?

「光が当たったときのハイライトを意識して新色を設定しました。ノーマルの水色はハイライトがゴールドに、カスタムのブロンズでは赤から緑味に変化し、各々の特長を生かしつつ上質感を醸し出しています」

──  内装はカフェのイメージですが、ボディはパステル系などもっと明るい色は考えなかったのでしょうか?

「とくに可愛さは狙っていなくて、やはり大人の上質さが欲しい。初期受注ではイエローの2トーンが好評のようですが、これも可愛さというより活発なイメージでしょうか」

──  本日はありがとうございました。

シルエット自体は踏襲しても、造形テーマによって表情は大きく変わります。新型NーBOXは、その点で「上質」「乗用車感」というテーマが内外装ともに明快であることが印象的でした。

[お話を伺った方]

※写真右から
株式会社本田技術研究所
四輪R&Dセンター デザイン室
1スタジオ 杉浦良、金山慎一郎
3スタジオ 渋谷恭子

(インタビュー・すぎもとたかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし 近影

すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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