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「身の毛がよだつヨーイングの恐ろしさ」by稲田大二郎(Dai)
OPTの最高速テストで、初めての悪い気象条件だった。最高速テストというのは、マシンのエンジン、サスペンション、空力などに異常が無かったら、谷田部テストコースでは、ほぼ完璧な性能を出すことが可能だ。もちろん、300km/h近くになるとバンクの進入、脱出時には、繊細なテクニックが必要。それでも、直線で全開になるよう、コントロールできる。
しかし、チューンドカーは真っ直ぐ走らないことが多い。今回は直線、バンクなどで風が強く、ヨーイングが発生。特に、最高速に達する直線では、マシンによって5mくらい吹き飛ばされ、計測ラインを踏むのも困難だった。その瞬間は、身の毛がよだつ感じだ。
速い国産マシンが全開できなかったので、記録的には今一歩だったが、この条件では死を賭けた限界スピードだと思って欲しい。
それにしても、国産マシンの1年間におけるスピードアップぶりは、恐るべきものがある。ただエンジン出力は限界なく上がっても、それに見合う駆動系の強化やサスペンション、空力特性がベストマッチしないと、危険なことはいうまでもない。今後はレース専用マシン並みの信頼性が、記録を大きく左右すると思われる。
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北野元選手でさえ、危険過ぎると判断しクルマを降りました。それだけ、最高速テストというものは、誌面で見る華やかさ以外に、ドライバーが命をかけて記録に挑んでいる、というストーリーもあるのです。そしてこの日のテストは、この後のOPT最高速テストの挑み方に一発、気合を入れた日となりました。
今現在の最高速テストは、クルマ自体の剛性、安全性、使うパーツの信用性、またタイヤ性能もアップし、もちろんクルマを作るチューナーのウデも信頼のおけるものとなってきているので、この時代の危うさは減少しているのも事実。でも、だからといって、必ずしも絶対に安全!は、無いです。今だって結構、気合を入れて最高速テストをしているんですよ!
さて次回【その2】以降では、この日に思ったDaiの気持ちがDai BOOK「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」(三栄書房刊)にも記されているので、その紹介も含め、この日テストしたマシンチェックを紹介しますので、お楽しみに!
[OPTION 1983年2月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)