ゲーム「グランツーリスモ」が自動運転に与える影響とは?

グランツーリスモと言えば、それほどクルマやゲームに詳しくなくてもクルマを走らせるテレビゲームであることは多くの方がご存知でしょう。

今回、大きく分けて7作目となるグランツーリスモSPORTが2017年10月19日に発売となることが決定しました。

噂ではもう少し早めの発売が期待されていましたが、どうやら延期されてきた模様。しかし、この正式発表を持って発売日はもう後にはずらせないという宣言となったようです。

今回、この発売日決定を受け、一連のグランツーリスモ及びグランツーリスモSPORTについて、グランツーリスモシリーズプロデューサーである山内一典さんにお話をお聞きすることができました。

—今回のグランツーリスモSPORTに対する意気込みなどは?

今回のグランツーリスモSPORTはこれまでのグランツーリスモシリーズ20年間のよいところをすべて、エッセンスとして取り入れて、スポーツモードとか、HDRフォトなど新しい写真の姿など、新しい基本形ができたと思っています。最初のグランツーリスモ1を作っているつもりになって開発してきました。もう一回、これからの20年を見据えて作ったのがグランツーリスモSPORTということになります。

—実車メーカーとのやり取りであったことは?

自動車メーカーとのやり取りはいつも興味深いものです。今回ポルシェが収録されることになりましたが、昨年ル・マンに行った時、ポルシェのエンジニアの方々が「これは本物だ」と言ってくれたんですよ。そのコンセプトや考え方が本物だと言ってくれたんです。熱意だけでなくエンジニアリングの部分でクルマやレースに対して同じだと感じてくれたんでしょう。FIAグランツーリスモチャンピオンシップについても同様に感じてくれた部分が大きかったと思います。

—実車の世界が自動運転化の流れがありますが、この影響はありますか?

個人的な話ではフェラーリなどのスポーツカーにこそ自動運転が欲しいと思っているんですよ。サーキットなど走るところへ向かう時や帰る時の渋滞はやはり辛いですよね。どうしてもスポーツカーは日常の走りの部分をスポイルするところがあるからです。それから、自動運転の開発にはグランツーリスモが多く使用されています。多くのシミュレーションに使われているんです。先日も、(自動運転への画像認識技術大手の)NVIDIA社が開発にグランツーリスモを使用しているとも聞いています。今後はそういった需要に応えるための開発向け機種などが必要だと感じていますね。

—その自動運転が当たり前になっていくとゲームはどうなるのでしょうか?

実は、かつて自動運転モードというのがあったんです。車両のセッティングはやるけれど、運転はしないモードですが、それも復活させる必要があると思います。今後はそういうモードを復活させていきたい。

確かに、以前から車両挙動のシミュレーションとしてグランツーリスモが使われていると聞いていましたが、街中を再現できるということで、自動運転の開発には非常に有効であることは想像に難くないですね。

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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