── リアピラーに引かれたラインも、かなり特徴的です
「グローバルセダンとして、後席の居住性の確保は必須ですから、ルーフ後端は下げられない。そのままだと箱っぽく見えてしまうので、後ろへ強く引っ張るようなラインを引き、エモーショナルな表現としたのです」
── では最後に。ボディに多くのラインを引くと、勢いが出る一方、ビジーな表現になりがちです。今回は、その点の兼ね合いをどう考えましたか?
「実は、開発途中では社内からもビジーだという声があったんです(笑)しかし、すべての線を整理してハーモナイズさせた最終段階では、そうした声はなくなった。つまり、線が多くても必然性があればシンプルに見えるし、美しくもなるということです」
シンプルか、ビジーか。マツダはCXー5で引き算のデザインを掲げましたが、美しいクルマへのアプローチはさまざまです。カムリの取り組みは、その回答のひとつを見い出せたのかもしれません。
[お話を伺った方]
トヨタ自動車株式会社・MSデザイン部 グループ長
久保田 憲 氏
(すぎもとたかよし)