力強いターボエンジンと相性のいいATの組み合わせが生む鋭い走り【トヨタ・ハリアー試乗】

2013年に登場した3代目ハリアーが2017年6月にマイナーチェンジしました。その最大のポイントは2リットルのターボエンジンが搭載されたことと、トヨタ・セーフティ・センスPが採用されたことです。

新しく搭載された2リットルターボエンジンは、最高出力は231馬力、最大トルクは350Nという高性能さです。ミッションは2リットル自然吸気のCVTとは異なり、一般的な6速のATが組み合わされます。

エンジンは発進からトルクフルでかなり力強い印象があります。試乗したハリアーは4WDで1.7トンを超える車重ですが、クルマの重さを感じるようなことはありません。アクセルペダルを踏めば、ススッと前に出てきます。

 

ターボエンジンというと、ターボが効き始めるまでの遅れ、つまり「ターボラグ」が気になるかもしれませんが、このエンジンにはターボラグ的なものを感じることはありませんでした。

中間加速も力強いです。80km/hからアクセルペダルをグイッと踏み込めば、ダウンシフトと同時にエンジン回転数がグッと上昇し、グイグイ加速していきます。高速道路の追い越しも楽々でした。

ハリアーはマイナーチェンジによって、トヨタ・セーフティ・センスPを装備したので、追従機能付きのACCも手に入れました。ステアリングコラムの右下にあるスイッチでACCを作動でき、そのスイッチが装着されているレバーを上下することで設定速度を調整できます。

自工会内での申し合わせが撤廃されたため、設定速度は180km/hまで可能となっています。現在、日本での最高速度はどんなに高い設定でも100km/hですが、実情を考えれば設定速度が上がったことは使い勝手を向上していると言えます。

  

ACCは全車速追従機能付きなので、渋滞時でも使用できます。渋滞で停止した場合もACCのスイッチでリジュームを選ぶか、アクセルペダルを踏めば再スタートします。速度が速い状態では車線変更をしても、ACCでの追従が継続しましたが、停止寸前の速度で車線変更をした際には、ACCがキャンセルされました。

ハンドリングはなかなかシャープでスポーティな気持ちよさがあります。今回のターボモデルには、ハンドリングを向上するパフォーマンスダンパーが装着されているので、背の高いSUVとは思えないようなキレのいい走りを手に入れいています。

ただし、それと引き替えにちょっと乗り心地は固めでした。とくに、路面の継ぎ目などはよく拾ってしまい、乗り越えるたびに「パンパン」と大きめの音を発生させます。クルマを下りてからタイヤをたたくと、タイヤそのものがまるで太鼓のように共鳴音がしました。これはちょっと残念な部分でした。

(文:諸星 陽一/写真:小林 和久)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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