準備するストラテジー数は200万通り!? レースストラテジストの仕事内容に迫る!【F1速報×F1女子~オーストリアGP号~】

2017年F1第9戦オーストリアGPで、バルテリ・ボッタス選手(メルセデス)がキャリア初となるポール・トゥ・ウィンを飾りました!表彰式では、ダニエル・リカルド選手(レッドブル)がすすめたシューイを全力で拒否している姿が印象的でした(笑)。

そんなオーストリアGPの情報がギュギュッと詰まった「F1速報オーストリアGP号」(7月13日発売)の見所を紹介します。

■知られざるレースストラテジストの仕事内容

F1チームスタッフには様々な役割がありますが、今号の特集ではベストな戦略を導き出す達人「レースストラテジスト」をピックアップ。各チームのレースストラテジスト達が、その仕事内容を詳しく教えてくれていますよ。

レースストラテジストが誕生する以前はレースエンジニアが戦略を立てていましたが、2007年にブリヂストンのワンメイクタイヤとなり、より戦略がレースの勝敗を分ける重要な役割を果たすようになったことから、この職種が確立されるようになったのだそう。

ではレースストラテジストとレースエンジニアはどこが違うのでしょうか。そしてレースストラテジストに必要な能力は何なのか、フォースインディアのバーナデット・コリンズが次のように説明しています。

「レースストラテジストに求められる最も重要な能力は数学です。いかに早く計算し、答えを導き出すか。これに対してエンジニアは数学だけでなく、物理学や工学などさまざまな知識が必要となってきます。したがって、エンジニアはストラテジストになれますが、純粋なストラテジストからエンジニアに転身するのは難しいでしょう」

仕事内容の中で特に驚いたのが、準備するストラテジーの数。レース前には10~20とおりに絞られるそうなのですが、準備する数はなんと「100万から200万通りもある」というのです。

「この数字はあくまでもコンピュータでの計算上だが、なぜこんなにも数が多いのかというと、レースは1台だけでなく20台で走るから、さまざまな組み合わせが起きるんだ。そもそも予選で誰がどの順位になるのかだけでもさまざまな組み合わせになり、スタート後にもポジションがさまざまに変わる。レースペースは全車異なるし、タイヤのデグラデーションもコンディションによって変わり、マシンやドライバーによっても違ってくる。それにアクシデントや接触事故によるセーフティカーが加わると、レース戦略は無限大になるんだ。もちろん、そのなかから最終的に選択する戦略はごく一部だけど、何かあった時にその準備を事前にしていたかどうかで対応も変わるし、決断する時の自信にも変化が生じるから、ひととおり準備しておくことが重要なんだ」(メルセデス/ジェームス・バレス)

レースにおいて重要な判断を行っているレースストラテジストですが、レース中ドライバーと無線のやり取りをしているのはレースエンジニア。一体なぜなのでしょうか。この疑問をメルセデスのジェームス・バレスが解説してくれています。

「むしろ重要な判断だからこそ、我々は無線は使わないようにしているんだ。私たちが無線で直接ドライバーと話すと、それをほかのチームにも聞かれてしまう。だから、私たちはドライバーへではなく、そのレースエンジニアたちにインターコム(有線)で指示を出している」

そしてぜひチェックしてもらいたいのが、レースストラテジスト一覧リスト。日本GPまでに覚えて一緒に写真を撮ってもらう、というのも良いかもしれませんね。

この他にもレースストラテジスト達が選んだベストレース&ワーストレースのエピソードなど、読んでいて新たな発見や驚きの連続でとても面白い特集でした。

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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